それ以前に「新しい事業をつくる」という確固たる意思や、「やらないではいられない」無謀な欲求こそが、ベンチャーを始める動機に思えてなりません。

 国の制度に関わらず、まず自分の思いが先立って、どうなるかわからない世界で新しいことを始める。これがベンチャーの人と持つ特性であり、私たち(とりわけ会社員の人)がベンチャーに挑戦する人にリスペクトを抱く理由になっていると思います。

 成功か失敗かよりも挑戦することの偉大さは、とりわけ企業に勤める人なら(自分に置き換えてみれば)よく理解できるでしょう。こうした価値観が広まることこそ、日本でベンチャーに挑戦する人が増えるため要因と思えてなりません。

 以前、一橋大学大学院の楠木建先生が、「『制度先行』の落とし穴」という記事を書かれ、実態が先行した後に制度をつくった方がうまく行くと書かれていました。ベンチャーについても、これと同じことが言えるでしょう。

 今号の特集タイトルを「起業に学ぶ」としましたが、「起業に」学ぶ対象は既存企業の経営に携わる人を想定していました。企業でも、従来の事業を守る人より新しい事業をつくる人が求められている時代に、起業の経験こそ学ぶべきベスト・プラクティスだと思います。この認識が広がることで、起業をしようとする人が増えることを願ってやみません。(編集長・岩佐文夫)