幸運なことに、戦略家は企業を差別化する要因についてかねてより研究を重ねてきた。ゲイリー・ハメルとC・K・プラハラッドは、1990年にハーバード・ビジネス・レビューの古典的論文「コア競争力の発見と開発」でこの問題に答えている。マイケル・ポーターの3部作、『競争の戦略』、『競争の戦略論 』、『国の競争優位(上)(下)』は、戦略を真剣に考える人の書棚には必ずある。そしてベイン・アンド・カンパニーのクリス・ズックもまた、このテーマに関して役立つ本を数冊著している。

 これらの古典的研究、および大変革による成長を成し遂げた企業の事例をふまえると、経営者が自問すべき問いが明らかになる。新たな成長をもたらす可能性が最も高い自社の資産を特定するために、次の3点を考えてみよう。

1.顧客が自社の製品やサービスを選んでくれる、本当の理由は何か。

2.競合よりも圧倒的に優れている、自社の組織能力は何か。

3.小規模のベンチャー企業が自社を模倣しようとする場合、どの程度困難か。

 このように、意図的に外部の視点から考えることで、最も賢い戦略家でさえ捕らわれてしまうバイアスを防ぐことができる。

 ブランドや規模といった、型通りの答えにとらわれてはならない。ブランドや規模は、進化が遅い消費財を扱っていて数百万の得意客がいる場合には有効かもしれない。しかしサービス企業の場合は、たとえば若年層の人材を短期間で育成していることが最大の優位性なのかもしれない。小売り業であれば、それは画期的な物流システムかもしれない。

 市場より速くイノベーションを行うことは不可能に近いが、市場よりうまく行うことは可能である。それにはまず、自社固有の組織能力を外部からの視点で現実的に把握することが必須となる。


HBR.ORG原文:Three Questions to Jump-Start Your Company's Growth October 4, 2012

 

スコット・アンソニー(Scott Anthony)
イノサイト マネージング・ディレクター
ダートマス大学の経営学博士・ハーバード・ビジネススクールの経営学修士。主な著書に『明日は誰のものか』(クリステンセンらとの共著)、『イノベーションの解 実践編』(共著)などがある。