なぜこれらを重要視するのか。それは、国際的なつながりの深化が数兆ドル規模の経済的利益とさまざまな非経済的メリットをもたらす可能性を秘めているからだ(第4回の記事を参照)。これには根拠があるにも関わらず、グローバル・トレード・アラート(英シンクタンク)の報告によれば、2008年11月以降、自由化と透明性を強化する貿易政策の3倍に及ぶ排他的な貿易政策が導入されているという。将来の世代はより統合された世界から恩恵を享受する、という説をそのまま受け入れることはできない。

 GCIのような調査結果の最大の価値は、ほぼすべての国のグローバル化のレベルについて確かなデータと分析が提示されていることであろう。これらはグローバル化の影響が身近なところでは限定的なものであることを明らかにし、グローバル化をより大局的な視点で見るうえで役に立つ。

 たとえば、米国は貿易赤字という深刻な問題を抱えている。しかし、GDPに対する商品輸入の割合に関していえば、米国は140カ国中134番目(15%)にすぎない。つまり、米国の経済問題は主として自国の問題に根差しており、国内での解決策が必要であることがわかる。これはGCIから得られる有益な示唆である。

 貿易ではなく人の流れに着目して、もう1つ例を挙げる。フランスで最近実施された世論調査では、移民はフランスの人口の24%を占めるという回答結果が出た。正しくは10%にすぎない。現在のグローバル化の程度について一般大衆がもっと正確な情報を得ていたならば、2012年のフランスの総選挙であれほど反移民の声が挙がっただろうか?

 GCIは、確かなデータと分析を提供する最も包括的でタイムリーな情報源となることを目指し、世界全体のグローバル化の実態と方向性を描き出している。ぜひご覧いただきたい。

(本記事はパンカジュ・ゲマワットとスティーブン・A・アルトマンの共著。アルトマンはIESEビジネス・スクールの上級研究教授および講師で、戦略的経営を専門とする。)


HBR.ORG原文:New Report: We're Not As Connected As We Think December 12, 2012
 

パンカジュ・ゲマワット(Pankaj Ghemawat)
スペイン・バルセロナにあるIESEビジネス・スクールのアンセルモ・ルビラルタ記念講座教授。
著書にWorld 3.0などがある。