解決法はあるか。カギは、休暇直後の私の体験にあると思う。

 メールを絶え間なく複数の端末からチェックするのをやめる。そして1日のうちパソコンに向かっている時間帯に、メールチェックに当てる特定の時間を設けるのだ。ほかの時間は、メールを休止するということだ。

 メールへの返信は、パソコンでまとめて行うのが最も効率がよい。迅速に作業できるし、添付ファイルもすぐに用意できる。カレンダーなど別のアプリケーションにもより手早くリンクできる。さらに、メール作業という目的に特化して腰を据えれば、メールに真正面から取り組める。集中してメールに没頭でき、ほかの作業に目移りして時間を無駄にすることもなくなる。

 私の場合、メール作業を1日3回、30分ずつ設けるようにした。朝と昼、そして1日の終わりにパソコンをシャットダウンする前だ。30分のタイマーをセットし、それが鳴ったらメールのプログラムを閉じる。それ以外の時間にはメールを開かず、次のメール作業時間まで待つ。パソコンから1日中離れている時を除き、携帯電話でメールを読むこともやめた。

 メールをチェックしたいという衝動に駆られたら(頻繁にそうなる)、深呼吸をして、その時に生じる感覚に身を任せる。そして、何であれその場でやっていることに集中する。それが何かの待ち時間であれば、待つことに集中するのだ。意識をリラックスさせながら。

 そしてわかったことがある――失うものは、何もない。

 むしろ、その反対だ。1日を通して、自分をしっかり保っていられる。気を散らすことなく、その時の周りの出来事に集中できる。相手の話に注意して耳を傾けるようになり、人々のわずかな反応にも気づくようになった。思考が活性化してアイデアが次々と浮かんでくる。以前よりも生産性が上がり、敏感で創造的になり、幸せを感じるのだ。

 さらに、メール作業をより速く、かつ注意深く行うようになった。せわしない作業から生まれるミス――誤って別の人をCCに入れたり、書きかけのメールを送信してしまったり、心ない言葉で相手の心証を害してしまったり――がなくなった。つまり、より効率的になったわけだ。

 では、もし誰かが至急の返信を求めていたら?――こう心配すること自体が、メール中毒を助長する誤った認識に他ならない。私は新しい方法を取り入れて以来、誰かを怒らせたことは1度もない。実際、私がメールに休止時間を設けていることに気づいている人はいないと思われる。なぜなら、数時間後に返信するという行為は非常に合理的なことだからだ。万が一、相手が本当に数分以内に返信を必要としているのなら、テキストメッセージや電話といった別の方法で私をつかまえるはずだ。

 メールは私にとって、もう負担ではなくなった。毎日90分だけ費やし、それぐらいが自分には調度いい。90分以上必要な人も、それ以下で済む人もいるだろう。実際に試してみて、適切な時間を見極めることをお勧めしたい。

 最も難しいのは、それ以外の時間にチェックしたくなる衝動と闘うことだ。私からの助言は、その衝動が沸き起こったらメールではなくあなた自身をチェックすること。いま、自分は何をやっているのだろう、何を感じているのか、と自問するのだ。深呼吸して、ゆったりと意識を安定させよう。慌ただしく働く最中に、そのひとときだけは休暇中のような気分になれるかもしれない。


HBR.ORG原文:Coping with Email Overload April 26, 2012
 

ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。