それを実現するのは、大規模で新しい取り組みではない。むしろ、あらゆるレベルのマネジャーが、毎日の部下の進捗を支援する必要性を理解することである。たとえそれが、ほんの僅かな前進、小さな成功であってもかまわない。

「進捗の法則」を活用することは、社員の意欲を保ち、創造性と生産性を高め、同僚との助け合いを促す最もよい方法である。やがてはこの小さな成功の積み重ねが、事業の収益に結びつくのだ。

 進捗を促す方法はいくつかあるが、マネジャーが悪循環を断ち切り進捗のサイクルを生むには、まず3つの原則に焦点を当てる必要がある。すなわち、有意義な仕事、明確な目標、自主性である。

 社員の仕事がどれほど重要な意味を持つのかを、本人に理解してもらう。プロジェクトの明確な目標を設定することで、仕事の方向性を理解してもらう。同時に、目標達成のために独自の能力や専門知識を発揮する自主性を認める。定める目標の中には、中期的で達成可能なステップを含めるとよい。そうすれば小さな成功がより早期に、頻繁に得られるからだ。

 何より重要なのは、小さな成功が起こる機会を減らし進捗を阻害する要因に注意を払い、それらの芽を可能な限り摘んでしまうことだ。

 こうした方法が、組織を前進させることにつながる。すぐには解決できないような大きな問題に悩まされることも、少なくなるだろう。大きな目標を達成するには、数多くの小さな成功が必要なのだ。

 皆さんは、この経済危機の下、組織にどのような好機を見出しているだろうか。


HBR.ORG原文:The Power of Small Wins in Times of Panic August 15, 2011

 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。