1.日々の進捗を常に意識する

 マネジャーが従業員の進捗を把握するためには、まず従業員が実際に進捗を見せなくてはならない。そこで、リーダーは「進捗を意識し合う環境」を醸成し、人々の日々の進捗を後押しすることから始める必要がある。オライリーはまさに、これを実践していた。誰もが(自分の作業だけではなく)プロジェクトそのものを意識し、いかにそれを前進させるかを考えているのである。プロジェクトの検討会議には経営幹部も参加し、チームメンバーに重要な問いを投げかけ、建設的な改善が行われる。そのような会議の後、あるチームメンバーは日誌に次のように記している。「今日、プロジェクトが無事にスタートを切った。方向性を上層部と協議し、とてもよいフィードバックをもらった」

2.挫折の中にも小さな成功を見つける

 我々が調査としていたあるチームは、技術的に非常に困難な新製品開発に取り組んでおり、挫折もしょっちゅうだった。しかし、オライリーのリーダーはメンバーが安心して取り組める雰囲気を醸成していた。従業員は新しいアイデアを試す時に、失敗したり過ちを認めたりすると罰を受けるのではないか、と恐れる必要がない。ある研究者は、挫折がよい学習機会となった出来事を次のように記している(この挫折のおかげで、彼は後に大きな進捗を得ることになった)。「私はチームリーダーに試験結果を見せて、エラーが1つあったことを報告した。ところが彼は、試験結果を把握することが重要なので特に問題ない、と答えてくれた」

3.大小問わずあらゆる進捗を、さまざまな方法で明らかにする

 オライリーの新製品開発チームは毎週ミーティングを行うが、とりわけ目標に対する進捗、失敗の分析とそこから得られる教訓、軌道修正の必要性を重点的に検討する。全体的な進捗は往々にしてわずかなものだが、チームリーダーは研究者と技術者が進捗を認識できるよう後押しをしていた。そのようなミーティングの後に書かれた日誌の典型例を紹介しよう。「今日のミーティングでは、この1週間で得られたデータと成果について話し合い、ある程度前進していることを確認できた」。わずかな進捗でもこのように評価し合うことは、長期に及ぶプロジェクトを通して皆の意欲を持続させる効果があった。さらに重要なことに、経営陣は定期的に、進捗を公の場で称えていた。優れた成果を上げた個人やチームを、全社会議の場で称賛するのだ。ある研究者は、モチベーションが特に高まった日のことを次のように記している。「年度末の全社会議では、経営陣が選んだ10の優秀なプロジェクトを、この会社で一番偉い人物が発表した。我々のプロジェクトはそこに選ばれただけでなく、人々の注目を集めた」。ドラマチックな演出や、ビデオゲームの効果音はなくても、これこそモチベーションを飛躍的に高めるものだ。

 皆さんの会社では、進捗を意識し合う環境が整っているだろうか。どんな進捗インジケータと達成率マーカーがあるだろうか。


HBR.ORG原文:Three Secrets of the Video Game Designer August 8, 2011
 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。