無名ブランドを強く育てる4つのヒント

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●ブランド名をクリエイティブ戦略に基づいて考える
 顧客の共感を呼び、広く(インターネットや世界市場で)伝播しやすい名前を用いて、ブランド・アイデンティティを確立させるのが望ましい。短く、表記しやすく、言いやすいブランド名とするのだ。ブルーリボン・スポーツという名前のスポーツシューズ会社を14年間経営していたフィル・ナイトに、ある日友人がギリシャ神話の勝利の女神にちなんだブランド名を提案したことで、ナイキが誕生した。サラ・ブレイクリーは女性用の補整下着を考案し、スパンクス(Spanx)という実にわかりやすい名前を付けた。ブレイクリーは、自身の判断を次のように表現している――「エッジが効いていて、楽しくて、とてもキャッチーで、そして一瞬とまどわせるようなネーミングにした」(注:spankは「お尻を平手で叩く」という意味がある)。その過激なネーミングゆえに、創業当初は販売業者に電話を途中で切られることも多々あったという。しかし、ブランド名を貫き通すうちに、顧客のほうがこのセクシーなネーミングと商品のイメージを歓迎するようになった。

●多すぎる選択肢で顧客を圧倒することを避ける
 製品の仕様や種類、そして販売方法まで、すべてを簡潔にする。オンラインのメガネ専門店ワービー・パーカー(Warby Parker)は、おしゃれなビンテージ風フレームを95ドルで販売している。同社は、一般的なメガネ店のように何百というフレームを揃えて顧客を圧倒したりせず、製品を50種類に限定している。顧客の利便性を図るために、サイト上に自分の写真をアップロードすればさまざまなフレームを「バーチャル試着」できるサービスや、メガネを最大5点まで送料無料で取り寄せるサービスを提供している。また同社は、ブランドに慈善精神を組み込み、「お買い上げ1点につき、1点を寄付します」という慈善キャンペーンも行っている。顧客がメガネを1点買うごとに、支援を必要としている人にも1点寄付されるという仕組みだ。革新的なブランド展開を続けていくために、従業員たちは毎週金曜日に、気になった写真、アイデア、動画、記事などを持ち寄る「インスピレーション・フライデー」を実施している。その中で挙がったアイデアの1つは、ペットの犬が(おそらく飼い主に助けてもらいながら)自分でフレームを選べる「ワービー・バーカー」(Warby Barker)へと発展した。

 こうした方法で、小規模の事業から始めた起業家たちは、無名ブランドを魅力的で力強いブランドへと育て上げていった。些細なことに目を向け力を注ぐことで、より簡便で記憶に残る体験をつくり出しているのだ。それを享受するのは、シンプルさを何よりも歓迎する人々――つまり、顧客である。


HBR.ORG原文:How These Small-Time Brands Made It Big August 15, 2012

 

キャサリン・カピュタ(Catherine Kaputa)
ブランディング支援企業、セルフブランドの創業者。スミス・バーニー証券の元上級副社長。著書にBreakthrough Branding: How Smart Entrepreneurs and Intrapreneurs Transform a Small Idea into a Big Brandがある。

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