スタートアップで大切なのは、ハングリーさ、
そしてチャーミングであること

――投資先を決める際に、何を判断基準にされていますか?

松山:それを間違えているからグーグルも、クックパッドも@cosmeも見逃しているわけですが(笑)。

 基本的には自分自身もネット業界が長いので、業界での経験がある人に投資しているケースが最近は多いですね。業界に知り合いもいるので、誰かをたどればその人の評判とかわかるじゃないですか?だから仕事がどれだけできるかを知るのはさほど苦労しません。

 1997年ごろは、この業界自体がなかったので、他業種から来ますよね。楽天の三木谷さんも興銀出身です。そうなるとその人の評判とかわからないんです。だから当時と比べると今の方が投資判断は楽になりましたね。

 もっと言うと、投資先は直接付き合っている人が多いので、その人の力量がわかります。

――となると、投資判断の最初に来るのは、人ということですか?技術やビジネスモデルというお答えも予想していましたが。

松山:もちろんサービスとしていいものをつくることが前提なんです。ただそうですね、最終的にはできる人に投資しているんですかね。

――「できる人」と簡単におっしゃいましたが、もう少し要素分解するとしていうとどういう人ですか?普通のビジネスパーソンの「できる人」とは違うんでしょうか。

松山:うーん、そうですね。明らかに違うような気がしますね。特に僕の場合、投資する資金がとても小さく、本当のアーリーステージなんです。小資本のスタートアップで大切なのは、ハングリーさでしょうか。

 小資本のスタートアップの場合、お給料もちゃんと払えない状態から始まるんです。それでも「この人となら給料は後払いでもいいから一緒に仕事をやりたい」というエンジニアがついてくるような人間性のある人ですね。大資本のスタートアップだと、優秀なエンジニアを高い報酬で連れてくることができます。でもアーリーステージの会社だとそうはいかないので、その人に「頼むよ」と言って、ついて行こうと思わせるチャーミングな人が必要でしょうか。

 実際に見ていても、結局、そういう魅力があり人脈もあって、頼まれたら仕方がないかと思えるような人が成功していますね。

――知り合いベースでの投資が多いとお話しされましたが、お友達などに投資するのは逆に難しくないでしょうか。

松山:そうですね。「友達ディスカウント」というのがあるんですよ。たとえばネットエイジの同僚で、いまグリーの副社長の山岸(広太郎)君がそうだったんです。彼とは仲のいい友達ですが、いま客観的に考えて、当時のグリーは投資すべき案件だったんです。でも関係が近いことで、「友達ディスカウント」が働いちゃうんですよ。できる男だというのは知っていたんですけど、友達だからかえって低く評価しちゃうんですね、なぜか。わかります?

――わかります。知っているだけに厳しい目で見ないといけないと思って、かえって低く評価してしまう。

松山:友達だからこそ、難しい面ってありますね。注意しなといけないですね。いま考えても、「友達バイアス」があって、投資できないことがあるんです。

 ただ、僕は基本的にインターネットサービスが好きなんで、友達も当然、同じ世界にいるんです。仕事もプライベートも付き合いがかぶっている人がいっぱいいます。バイアスは注意しなければいけないですが、だからと言って仕事と友達をわけることはできませんね。

 あと僕はいいプロダクトをつくった起業家を尊敬しています。たとえ相手が年下だろうと、素晴らしいものをつくった人はフツーに尊敬できますね。そういう人が好きなんだと思います。