グローバル化は、集中化を促進しないし競争を緩和することもない。のみならず、市場が少数の企業に支配されることで生じる問題を解決する一助にもなるのだ。競争のない国内市場では、消費者は高い価格、製品の品質の悪さや種類の少なさに悩まされる。このような場合に国際競争が有益となる。貿易あるいは海外直接投資によって競争が生じると、メーカーは改善を迫られ、消費者の抱える問題はすぐに緩和される。自動車業界の例に戻れば、外国の自動車メーカーが米国市場に参入することでて、米国の3大自動車メーカーは品質、デザイン、効率性を改善せざるをえなくなった。そうして今や、GMは中国市場でナンバーワンの座にいる。

 この最後のポイントは、グローバルな集中と国内または地域での集中とを区別することの重要性を示している。距離の隔たりの影響を受けにくい業界を除き、世界的に何が販売されているかよりも、地元または国内の市場での品ぞろえと価格がより重要になる。たとえ大手の自動車メーカーの数が世界的に減少したとしても(実際減ってはいないが)、別の大陸で売られている車を買いに行くのはかなり難しいしお金もかかるので、やはり特定の国または地域にいくつ自動車メーカーがあるかを見るほうが重要だろう。

 次に、政策面を考えてみよう。行きすぎた市場の集中への対処法の1つは、企業が地域または国内の市場を支配する前に企業を分割することである。しかし、外国の生産者に市場を開放するほうが、企業の分割よりもはるかに魅力的だ。なぜなら、規制ではなく競争によって市場支配力が抑えられるからである。このほうが破壊的でないし、国内には国際競争力のある最強の企業が手つかずで残る。このように、集中に関して言えば、市場開放は規制に代わる有効な方法となりうる。

 したがって、グローバル化によって市場の集中が促進されることについてはあまり心配する必要はない、というのが私の結論である。それよりも、市場の開放が国内の行きすぎた市場の集中を解決できるかどうかを考えるべきである。


HBR.ORG原文:Who's Afraid of a Few Big Companies Taking Over the World? April 24, 2012
 

パンカジュ・ゲマワット(Pankaj Ghemawat)
スペイン・バルセロナにあるIESEビジネス・スクールのアンセルモ・ルビラルタ記念講座教授。
著書にWorld 3.0などがある。