「人類の希望」といわれた原子力についても、2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故を思えば、人類を救うエネルギーにはなりえない。

 エネルギーの枯渇、地球温暖化、食料・栄養不足など、これら途方もないくらいの大きな問題を前にすると、人類が果たして解決できるのか、絶望的な気分になってくる人が多いのではないだろうか。

 でも大丈夫。実は、解決できる。

 その主役こそ、およそ5億年前に地球上に生まれた単細胞生物、ミドリムシ(学名ユーグレナ)だ。

 この本は、世界で初めて(2005年時点)、ミドリムシの大量培養に成功したユーグレナという会社の生誕の物語である。

 だが、それだけではない。

 この本で僕が語りたいのは、「どんなちっぽけなものにも可能性があり、それを追い求めていけば、やがてその努力は報われる」ということの、僕なりの証明だ。

 ミドリムシと聞いて、「え、青虫の仲間?」「そんなちっぽけなもので人類の問題が解決できるはずがないでしょう」と思う人もいるだろう。いや、実際にこの10年、僕はずっとそう言われ続けてきた。

 でも、さっき僕が書いた、ミドリムシが地球を救うというのは、何1つ偽りがない、本当のことだ。

 植物と動物の間の生き物で、藻の一種でもあるミドリムシは、植物と動物の栄養素の両方を作ることができる。その数は、なんと59種類に及ぶ。

 しかも体内に葉緑素を持つため、二酸化炭素を取り入れ、太陽のエネルギーから光合成を行うことができる。すなわち、CO2削減という意味でも、救世主となりうる。

 さらにそれだけではなく、ミドリムシが光合成により作り出し、体内に蓄えた油を石油と同じように精製すれば、ロケットやジェット機の燃料として使えるバイオ燃料が得られる。

 食料、栄養、地球温暖化、エネルギー。これら途方もない問題は、ミドリムシが解決するのだ。