ロビンは続けてこう言った。「サムが素晴らしかったのは、自分に全部まかせておけ、というような素振りをしなかったこと。そこが大好きなの。気取らないし、焦りもしない。私に何かを押し付けることもなかった。でも、立ち往生はしなかったわ。私たちは船を止めて、話し合って、不確実で怖い状況の中でも、素早く慎重に決断したの」

 これは、21世紀に必要とされる、力強いリーダーシップと生きかたを表す最たるものだ。

 私たちが生きるこの世界は、不確かな情報に満ち、予期せぬ出来事が必ず起こる。いつ嵐が巻き起こってもおかしくない――物理的にも、比喩的にも。そのリスクを無くすことは絶対に不可能だ。どれほど綿密に計画を立てたところで、それで将来への備えができたと考えるのは愚かなことだ。最も成功している人々は、五里霧中の海を巧みに進んでいける人々だ。

 しかし、明日に何が起こるかわからないのであれば、私たちはどうすべきか。不測の事態に強くなる必要があるのだ。それには次の3つのステップを踏むとよい。

1. 船を止める

 素早い決断を求められる状況に置かれたら、雷雨を目前にしたサムがやったように、船首を風に向け船足を止めるのだ。会議中であれば、小休止してトイレに立ってもいい。オフィスなら、立ち上がって歩き回ってみよう。言い換えれば――私たちがめったにやらないことだが――考える時間をつくる、ということだ。伝説的な登山家にして環境保護活動家で、ナショナル・アウトドア・リーダーシップ・スクールの創設者でもあるポール・ペッツォルトの有名な言葉がある――非常事態に陥ったとき、安全を確保してから最初にやるべきことは、一服することである。

2. 現実的な選択肢を検討する

 いつまでも後悔したり、事前の計画を新たな不測の事態に無理やり当てはめたりして、時間をムダにしない。白紙の状態に戻り、新たな状況における最も望ましい結果を、いま手元にある情報、資源、手段をもとに考える。そして選択肢を組み立てる。

3. 進む

 新たな判断をもとに、意思決定を行い、それを貫く。決断が理想的ではなくても、当初の望みの一部を諦めることになっても、この状況下では最善の選択であると割り切り、躊躇せず前へ進むのだ。

 どれほど備えても、新たな経済環境や競争、あるいは新チームでは予期せぬ事態が頻繁に生じる。そうした事態に動じないで行動できれば、大きな強みとなる。

 サムとロビンはその後もセーリングをともに続け、ふたりの関係は深まっていった。サムのヨットで海に出たある日、穏やかに広がる大海の上で、サムは不意に片膝をつき、ロビンに求婚した。ロビンはしばし止まったあと、セーリングで体得した教訓に従い、人生は驚きに満ちているということを受け入れ、結婚を承諾した。


HBR.ORG原文:Three Steps to Handling the Unexpected July 6, 2011

ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。