チーム内でのコラボレーションにもまた、メリットとデメリットがある。ハーバード大学心理学部教授のリチャード・ハックマンによれば、チームを適切に導くためには、チームを正しく構成すること、そしてチームにコーチングを施すこと、の2点が必要であるという。あるハイテク企業のチームリーダーは、この両方で間違いを犯した。同社の研究開発チームでは、目標と役割が不明確なためチーム構成が曖昧で、方針をめぐってメンバー間に争いが起こり、間に入って調整する者もいなかったのだ。画期的な新型スキャナ機能付プリンタの開発で、まず研究開発担当副社長が失敗を犯した。プロジェクトの明確な目標を定めなかったために、2人の上級機械技術者がそれぞれに、自分が製品設計を統括するものと思い込んでしまった。両者は初日から、相反する方針を一歩も譲らず対立した。さらに悪いことに、このチームのリーダーは高まる対立を見て見ぬふりをした。しばらくすると、同じチームの電気技術者は、もはや機械技術者の誰とも協力できないことに気づいた。こうしてチームの前進は止まり、イノベーションは頓挫した。

 コラボレーションがもたらす効果を最大化できる優れたリーダーは、コラボレーションを熱心に支援するだけでなく、明確な目標と役割を徹底させる。同時に、潜在的な対立関係を未然に防ぎ、表面化した際には介入し調整する。我々が調査した最も成功している企業のある幹部は、チーム内や他部署とのコラボレーションの成果を可視化するように努めていた。そしてコラボレーションの編成をみずから行い、部門横断的に人々を結びつけていった。こうした努力は大きく実を結んだ。また別の幹部は、他部門のライバルを自分のチームに招くことを望んだが、相手がそれを脅威と感じるかもしれないことを理解していた。幹部は対立の可能性を考慮して、事前にチーム内で話し合いを持ち、ライバルを引き込み協働にこぎつけるさまざまな方法を考えた。そして部門をまたぐパートナーシップはうまくいき、プロジェクトは期待以上の成功を収めた。

 これらのリーダーたちは、コラボレーションに潜むメリットとデメリットの両方を理解して管理に努めた。ゆえに同社ではチームの規模にかかわらず、日常的な連携と調整、そして互いへの尊敬があらゆるレベルで機能していた。その結果、イノベーションは飛躍的に前進したばかりでなく、社員の皆が、最悪の日よりもずっと多くの最高の日を過ごしていたのだ。

 読者の皆さんが所属している組織では、コラボレーションはどのように機能しているだろうか。メリットやデメリットを及ぼしている原因は何だろうか。


HBR.ORG原文:Managing the Double-Edged Sword of Collaboration May 23, 2011

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。