多忙な日々を過ごしていると、経験したことをじっくり分析したり、他者の意見を慎重に検討したり、決断がどう未来に影響するのかを判断したりすることがほとんどない。そうした作業には、時間をかけて落ち着いて取り組む必要がある。しかしその時間がない。だから私たちは内省する機会を持たなくなり、成長の余地を減らしている。

 十分に時間をかけて内省の機会を持てるのは、生活に強制的な中断が生じた時であることが多い。病気、失業、家族の死などは私たちに、立ち止まって物事をじっくり考えることを余儀なくさせる。しかしそれらは望ましくない中断であり、願わくば頻繁には起こらないでほしい。

 強制的な中断がなくても、継続的に内省の機会を持つにはどうすればいいだろうか。毎日数分の時間を熟考に当てる方法はないものだろうか。

 私たちに必要なのは、自分なりの「庭園散歩」を実践することだ。

 私がラジープにした提案は、熟考に最も集中できる場所を見つけて、毎日そこに行く習慣をつけるということ。そして私が実践している庭園散歩の方法は、ほかにもある。

 アウトドア・エクササイズはそのひとつだ。自転車に乗ったり、ランニングやウォーキングをしたりすると、私は実際に必ず何かの糸口をつかみ、出発前より良い視点を見つけることができる。これは独創的なアイデアを必要とする場合に私が最も好み、頼りにしている庭園だ。

 また、書くことも思考を促すよい方法だ。私は文章を書いているとアイデアが膨らみ、経験したことを自分の世界観に関連づけられる。書いたものを他人に見せる必要はない。日記をつけるのがいい方法だ。ほんの数分間だけでよい。

 友人や同僚と話をするのも、よい気分転換になるし、気づきを得る機会にもなる。これは相手の余裕次第であり、邪魔をしてしまわないよう注意が必要だ。私はたいてい、次のような言い方で会話のきっかけをつかむ――「少しだけ、一緒に考えてくれる時間はある?」。愚痴のこぼし合いにならないよう気をつける。そして自分の考えに賛同を求めるのではなく、その考えを質問として投げかけるようにしている。

 庭園散歩は短時間でできる。ただしあれこれ思い悩まず、定期的に思考を新たにする必要がある。私は1時間ごとにアラームをセットしている。アラームが鳴ると、この1時間をどう過ごせたか、次の1時間で何をするかを1分で自問する。このわずかな小休止で十分に有効だ。そして前回の記事で書いたように、私は日々仕事を終えてオフィスを出る前の数分間、その日の出来事を振り返るようにしている。

 クリス・コックスは、ファストカンパニー誌が2011に選んだ「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」のひとりだ。フェイスブックの製品担当副社長として、同社のすべてのエンジニアとデザイナーを管理する彼も、ラジープ同様、考える時間を多く持てない。そんな彼がこう言っていた。「私の通勤時間は、一番効率的で創造的な時間です。何にも集中していないのですが、同時に強い集中力を発揮しているのです」

 集中しないで、集中する――庭園を散歩する、いい方法かもしれない。

HBR.ORG原文:What to Do When You Have No Time to Think June 8, 2011

ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。