本当に興味深いセグメントは、ジャスティン・ビーバーとフォロワーがいない新規のツイッターユーザーの中間にある。たしかにビーバーのCNVはずば抜けているかもしれないが、彼がたかだか10ドルのためにすすんでTweet-to-Buyのような支援プログラムに参加するとは思えない。しかし、ソーシャルメディアのユーザーの中には「マジック・ミドル」とも呼ばれる強力なセグメントがある。ネットワーク価値は比較的高いが、ブランドと積極的に関わることにも前向きな人々だ。ソーシャルメディアユーザー全体の約9%にあたるこのマジック・ミドルは、信頼されている専門家、ブロガー、ジャーナリストなどであり、特定のニッチな興味分野で影響力と社会関係資本を築いてきた人々である。

 アメリカン・エキスプレスが今回のキャンペーンに際して行った発表によれば、同社のコミュニティーのネットワーク価値を平均10ドルと推計しているという。現時点では、この推計の精度に言及するのは難しい。同社の一律のオファーには弱みがある――セグメンテーションが行われていない点だ。この戦略により、影響力の高いツイッターユーザーからは10ドルの投資に対して何倍ものリターンが得られるだろうが、大半を占める影響力の低いツイッターアカウントでは赤字になるだろう。

 ソーシャルメディア分析が発展するにつれ、業界は「インフルエンサー(影響者)・マーケティング」へと向かっている。当該の分野におけるソーシャル面での影響力に基づいて、選択的なオファーを提供するのだ。これまでマーケティング担当者は、人口統計学的セグメンテーションを行い、CLVに基づくマーケティング戦略を磨いてきた。いまやインフルエンサー・マーケティングにより、CNVに基づくさらに最適化された戦略が可能になったのである。

 アメリカン・エキスプレスの例では、ツイッターにおける各人の影響力を見ることでキャッシュバックの規模を予測することができる。また、マーケティング担当者は重要なセグメントの人々の影響力に基づいて、見込み客への働きかけを向上させることができる。CNVの高い人々は、より高い顧客獲得コストに値する。購買額の高い顧客を獲得するために、より多くの費用をかけるのと同じことだ。

 影響力の経済的価値が評価され、性格付けされるようになり、マーケティング担当者は10億人を超えるソーシャルメディアユーザーを理解できるようになってきた。これが重要な事実である。


HBR.ORG原文:With Tweet-to-Buy, American Express Values its Community at $10 February 13, 2013

フェレンツ・フッサール(Ferenc Huszar)
ソーシャルメディア空間における影響力を測定する企業、PeerIndexのシニア・データサイエンティスト