「仕事に関する日誌をつけることで、自分の長所は何か、そして最も喜びを感じられる活動は何か、という点に“焦点”が当たる。意外なことに、私のこれまでのキャリアにおけるハイライトのいくつかは、とても地味な仕事でもたらされた。華々しい仕事でなくても、自分が最も夢中になれて、最も活躍できる仕事は何かということを、日誌は教えてくれたのだ。

 また、日誌をつけることで“忍耐力”と“計画性”が向上した。たとえわずかな前進しかできなくても――時に遠回りしたり、後退したりもするけれど――日誌は進むべき道を示してくれる中立的な審判者(そして静かなるチアリーダー)となる。さらなる進歩の余地は常にあるのだろうが、それよりも私にとって、目標に近づいているということを知ることのほうが大切だ。過去を振り返ることで、この1年間でどれだけ前進できたかを常に把握できる。そして大きな困難も、後から考えると小さな障害物にすぎなかったと思えるようになる。新たな困難が現れた時、日誌を見ることで大いなる忍耐力を発揮でき、対処法がわかるのだ。多忙な毎日を送る起業家になった今でも、私はその日の進捗、願望、そして次の達成へ向けた計画を日誌に書き込まずに1日を終えることは考えられない」

 日々の経験を内省して書き記すことの価値は、研究によって実証されている。心理学者ジェームズ・ペネベイカーらの実験によれば、トラウマやストレスを感じた出来事を書き表すことは、身体の免疫機能を高め健康を促進する。さらには、大学生活への適応力、自分は幸福であるという感覚、そして解雇の後に再就職先をより早期に見つける能力が高まるという。筆者らは、職場での出来事が人々とそのパフォーマンスに及ぼす影響を調査した。その過程で、複雑なプロジェクトに従事する200人以上の知識労働者に、プロジェクトの期間を通して日誌を毎日提出してもらった。この実験から驚くべき発見が得られたが(詳細はHBR誌2011年5月号の論文"The Power of Small Wins"および新刊The Progress Principleで報告されている。論文邦訳は本誌2012年2月号「進捗の法則」)、調査の参加者たちにもまた、自身に関する思いがけない発見がもたらされた。

 日誌をつける第4のメリット――“個人的成長”は、おそらく最も重要であろう。参加者たちは、毎日10分もかからない業務日誌を規則正しくつけることにより、プロフェッショナルとしての自身に対する新たな視点を持ち、改善すべき点を把握することができた。ある参加者は業務日誌を振り返り、次のように述べた。「自分のコメントには悲観的な内容ものがありましたが、今にして思えば、それは不適切でした。いまでは、もっと楽観的な心構えでプロジェクトに臨むようにしています」。また別の参加者は、調査の終了を前に次のように述べた。

「もう終わってしまうのが残念でなりません。その日の出来事をじっくり内省する、よい機会でした。この毎日の習慣によって、もっとチームと積極的に交流を図り、モチベーションを引き出すべきだと気づくことができました。自分を成長させてもらい、心から感謝しています」

 日誌をつける価値がわかったので、筆者らもそれを始めたところだ。しかしこれを、毎日の習慣とするのは実に大変なことでもある。進捗については別の機会に報告するとして、今のところは、業務日誌を続けることで得た読者の経験に耳を傾けたいと思う。もし意見やアドバイスがあれば、ぜひお寄せいただきたい。


HBR.ORG原文:Four Reasons to Keep a Work Deary April 27, 2011
 

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)
ハーバード・ビジネススクール(エドセル・ブライアント・フォード記念講座)教授。ベンチャー経営学を担当。同スクールの研究ディレクターでもある。

スティーブン・クレイマー(Steven Kramer)
心理学者、リサーチャー。テレサ・アマビールとの共著The Progress Principle(進捗の法則)がある。