ワールド・カフェのすゝめ

 ワールド・カフェにはいくつも利点があります。まず、参加者の自発性を引き出すのに十分な発言や傾聴の時間が用意されています。次に、参加者間の交流が確実に行われ、参加者は直接・間接に多くの異なる考えや意見と出会い、その意味をじっくりと考えて受け止めることができます。さらに、成り行き任せで話し合いが進んでいくわけではないので、テーマに沿った議論を進めることができ、かつ集会の時間管理が容易なこともワールド・カフェの利点です。

 このように、ワールド・カフェは、一定の方向性を保ちながら、多面性と共鳴力のあるポジティブな思考を参加者にうながす優れた手法です。ただし、その運営にあたっては以下のような注意が必要です。

 第1は、会場の雰囲気づくりです。ワールド・カフェでは、参加者がリラックスして前向きに議論に参加できる環境づくりが重要です。

 第2は、参加者の多様性を確保することです。特にプロジェクトをスムーズな実践へとつなげていくことを重視しているのであれば、プロジェクトの全メンバー、あるいは少なくとも全キーパーソンが、カフェに参加するようにするべきです。

 第3は、ワールド・カフェを何のために行うかを見失わないことです。事前にプロジェクトのコア・メンバーで、何が必要とされているかを十分に検討した上で、ワールド・カフェの目的と議論のテーマを適切に設定することが必要です。

 第4は、ワールド・カフェは1つのステップであることを忘れないことです。カフェの終了後には、プロジェクトのコア・メンバーで、見いだされたアイデアや方向性や認識をプロジェクトのなかでどのように活かしていくかを検討し、そのためのプランを策定し、実行していかなければなりません。

 最後にワールドカフェをはじめとするホールシステムを活用する際の基本姿勢を確認しておきましょう。企業や地域のリーダーは、自らが創造者とならなくても、組織やチームのメンバーの創造性を引き出すことで、マーケティング・リフレ-ミングを進め、思考の罠を乗り越えていくことができます。そして、このような草の根型のリーダーシップは、適切に運営が行われれば、プロジェクトのメンバーの自発性を高め、創造的な新しい視点への共鳴をうながし、企業や地域の現場の実行力を着実に高めるという利点があるのです。

(図2)「ワールド・カフェ」のエチケット