出会いや気づきを、いかにうながすか

 ホールシステム・アプローチは、プロジェクトの全てのメンバーを、ポジティブな姿勢で、多様な背景や関係を行き来しながら、他のメンバーの共鳴を引き出していくことにつながる思考に参加するようにうながします。続いて、ホールシステム・アプローチのキーストーンである、「関係者が一同に会する集会」を、どのように運営すればよいのかを考えていきましょう。

 気をつけなければならないのは、大勢の多様な関係者さえ集めれば、自動的に出会いや気づきが生まれるわけではないということです。大人数のパーティに参加したが、結局は同じテーブルに着席した友人たちと話をしただけだった。あるいは、大人数の会議に参加したが、限られた時間の中で発言したのは一部の人たちだけだった。皆さんもこんな体験をしたことがあるのではないでしょうか。

 関係者が一同に会する集会は、発言や傾聴を行う時間が参加者に十分に与えられ、その自発性が引き出されるともに、限られた時間のなかで参加者が多くの新たな出会いや気づきを得ることができるように運営されなければなりません。ワールド・カフェは、その実現のための1つの手法なのです。

ワールド・カフェの運営方法

 ワールド・カフェの手法は、1995年にカリフォルニア州ミルバレーでA.アイザックスとD.ブラウンによって編み出されました(『ワールド・カフェ』ヒューマンバリュー)。典型的なワールド・カフェは以下のように進行します。

 ワールド・カフェでは、まず4人一組のグループに分かれ、模造紙の置かれたテーブルを囲みます。そしてテーマについて相互に意見を述べたり、質問をしたりします。その際には、テーブル上の模造紙に議論のポイントを書き込んでいきます。他の人の書き込みに自分の考えをつなげたり、絵を描いたり、落書きしたりすることも自由です。これがカフェの最初のラウンドです。

 次のラウンドでは、各テーブルにはホスト役が1人残り、他の3人はゲストとして他のテーブルに散っていきます。こうしてメンバーが入れ替わった各テーブルでは、ホスト役の人が模造紙に残された書き込みを見ながら、最初のラウンドでの議論の内容を紹介します。ゲストたちはホストの説明に質問をしたり、自分たちのテーブルでの議論を紹介したりします。こうして各テーブルで、テーマをめぐる議論が続けられます。この際にも模造紙への書き込みが続けられます。

 最後のラウンドでは、他のテーブルに散ったメンバーが最初のラウンドのテーブルへと戻り、ホスト役の人からどのような議論が行われたかを聞くとともに、自分たちがどのような議論に参加してきたかを報告します。このやりとりも、相互に意見を述べたり、質問をしたり、模造紙への書き込みをしたりしながら行われます。

 以上の3つのラウンドが終わると、書き込みで埋めつくされた模造紙を、会場の壁などに貼りだします。そしてこの模造紙を見ながら、各テーブルでどのような議論が行われたかを相互に発表し合い、意見の交換が行われます。

 以上がワールド・カフェの流れです。この一連の流れは、1回のラウンドを30分程度に設定すれば、オリエンテーションや休息の時間なども含めて、全体を3時間程度で行うことができます。対応可能な参加者の人数については、会場の広さにもよりますが、数十人から数百人までと、かなり大がかりな集会にも対応できます。