創造性を発揮できずにいる組織と、PARCの違いは何であろうか。創造性のカギとなる、以下の3つの要素が十分にそろっているかどうかである。

1. 異なる考え方を持つ、頭の良い人々

 ビジネスにおける創造性を殺す1つめの脅威は、危機的状況にある教育システムである。米国人学生の科学と数学の成績は低下しており、基礎科目のカリキュラムはますます柔軟性を欠くものになっている。PARCで働いていたおよそ50人の従業員は、2つの重要な点において非常に賢い人々だった。第一に、コンピュータ・サイエンス、光科学、システム力学などの分野で深い専門知識を持つだけでなく、一見無関係な分野にも幅広い知識を持っていた。PARCの最初のコンピュータ科学者のひとりであるアラン・ケイは、音楽から生物学に至る膨大な知識を同僚たちに伝えた。第二に、PARCの発明者たちは創造的知性を備えていた。過去に蓄積した知識に囚われることなく、新しい情報を貪欲に吸収し、誰も考えつかなかった方法で組み合わせた。このような思考習慣は、ただ義務教育課程を修了するだけで身につけられるものではない。

2. 情熱的な献身

 小規模のベンチャー企業を除けば、今日の組織は、従業員に喜びとやりがいを感じる任務を与えることがあまりに少ない。PARC設立の3カ月後に参加したロバート・バウアーは、彼にとっての理想の仕事に30年以上従事した。彼はComputerworld.comで次のように語っている。「40年前にPARCで行っていた研究活動は、まるで魔法のようでした。誰もが毎日、情熱を持って職場に来ていました」。筆者の研究では、人は自分が取り組んでいることが大好きで、情熱に突き動かされて仕事をする時に、最も創造性を発揮することが明らかになっている。バウアーと同僚たちは、「これまでに存在しなかったものを想像し、立証し、つくり上げる」ことに、多大な興味と喜び、満足感とやりがいを見出していたのだ。湧き起こる情熱に身を任せることが非常に刺激的で楽しかったために、彼らは休む間もなく働いた。今日、人々は仕事に楽しさよりもストレスを感じることのほうが多いようである。