3. 「宇宙飛行士」型

 このタイプは、人々にこんなふうに呼びかける――「我々に必要なのは、何か壮大な取り組みだ。月ロケットの打ち上げに匹敵する、起死回生の一発になるものはないだろうか」。米国が人類を月面に着陸させたような偉業を望んでいるのだ。もちろん、壮大な目標を掲げることは良いことだ。だがそれにこだわりすぎると、会社の存亡を賭けるようなリスクをはらむプロジェクトばかりになってしまう(モトローラのイリジウムを思い出してほしい)。つまり、その壮大なアイデアは慎重な検討を要するが、前例がないため精密な分析は行えない、というリスクがあるのだ。月ロケットのような巨大プロジェクトに固執すると、イノベーションは発射台にすらたどり着かないことが多い。

 むしろ経営者は、ピーター・シムズが言うところの「小さな賭け」を奨励するべきである。最良のアイデアは実験と試行錯誤の繰り返しから生まれる、ということについて、研究者と起業家の意見は一致している。トーマス・エジソンの名言を紙に書いて貼り出そう――「天才とは1%のひらめきと、99%の努力からなる」。まずは汗をかくことから始めるのだ。

4. 「海賊」型

 この無法者たちは言う。「わが社はイノベーションの予算枠など設けていない。だがそれで問題ない。資金は必要になったら調達する」。これはいかにも起業家精神の反映のように感じられるが、イノベーターたちを悪夢のような目に遭わせかねない。経営資源を獲得するための明確なルールがない証拠だからだ。したがって、さまざまなステークホルダーたちとの打ち合わせが延々と続くことになるだろう――その場では誰もはっきりと肯定せず、否定もしない。

 優れた企業は、イノベーションを体系的に管理している。イノベーションのための予算を設定し、資金の調達と配分に関する明確なルールを設けている。こうした体系的なアプローチはイノベーションにはそぐわない、と考えるビジネスリーダーも多いかもしれないが、実際にはこの方法こそがイノベーションを実現させる。数年前、プロクター・アンド・ギャンブルの元CEOアラン・ラフリーと印象深い議論をした時のことだ。自社のイノベーションのプロセスについて、彼はこう表現した――「イノベーションのプロセスにおいて重要なのは、人々がそれに従うということです」

 幸いにも、これらの意図せぬ犯人たちは特定しやすいので、彼らを無力化することもまた容易である。カウボーイを拘束し、グーグルびいきを取り締まり、宇宙飛行士を飛行禁止にして、海賊にはお引き取り願おう。そうすれば、イノベーションの効果が現れるはずだ。


HBR.ORG原文:The Four Worst Innovation Assassins April 18, 2012