ここで重要なのは、5つの問いの答えが矛盾しておらず、互いを強化し合うようになっていることだ。世界的な企業になるという願望と目標を持ちながら、戦う場所として国内を選んでいた場合、独自技術の研究開発を基盤に競合に打ち勝とうとしても矛盾が生じる。なぜなら、世界展開を狙う競合がほぼ確実に投資額で上回り、あなたの会社を追い負かすからだ。流通の優位性で勝とうと思っても、そのための能力や管理システムを築く具体的な計画がなければ、その戦略は実現できないだろう。

 では、どこから始めればいいのか。たいていの組織は第1の問いから始め、ミッションやビジョンについての議論を行って参加者を苛立たせる。参加者が苛立つ理由は、「どこで戦い」「どのようにして勝つか」がある程度見えていなければ、意味のあるミッションやビジョンを考えるのは非常に難しいからだ。だから議論は堂々巡りになりがちで、何らかの合意に達することができるのか、誰にもわからない状態になる。戦う場所と勝ち方が考え抜かれていないのであれば、結局はどんなミッションやビジョンでも構わないのである。

 とはいえ、願望と目標の両方を考えずに戦う場所と勝ち方だけを考えれば、目標達成には有効でも、実現したい願望には沿わない戦略ができてしまう。

 以上のことからわかるのは、戦略を策定するには5つの質問の間を何度も行き来する必要があるということだ。願望と目標を1度考え、続いて戦う場所と戦い方に頭をめぐらし、また願望と目標に戻って修正を行う。それらが本当に実現可能なのか、能力や管理システムを検討し、また戻って修正し――といった具合だ。

 これは一見大変な作業に見えるかもしれないが、こうして繰り返すことにより戦略策定は実は簡単になる。ビジョンについての果てしない議論や、見当外れのSWOT分析、英雄気取りの無意味なビッグピクチャーばかり考えることから解放される。比較的小さく具体的なまとまりとして戦略を考え、5つの質問を何度も行き来しながら答えを磨き上げる。そうすれば苦労も少なく、時間も無駄にせずに、より良い戦略が立てられることだろう。


HBR.ORG原文:Five Questions to Build a Strategy May 26, 2010