では、オーナーシップ文化を育み、維持していくためのアドバイスを3つ紹介しましょう。

1. とにかくコミュニケーションを重ねる

 あなたが(経営者として)会社を維持するための事業開拓に忙殺されていることは、重々承知です。しかし、オーナーシップ意識を持つ従業員は、社内でいま何が起きているのかを知りたいと願っています。定期的に時間を割いて、そのような「従業員オーナー」が仕事の短期的な展望を理解するのに役立つ情報を提供するようにしましょう。同じく重要なことですが、次の18~24カ月間における具体的な目標を提示し、今後10年間の組織のポジショニングについて共に考える機会としてください。

 今日、多くの組織が不安や先行き不透明感を抱えています。そのことが品質や生産性を阻害している場合もあります。しかし、従業員の懸念をきちんと理解するだけで、そうした不安や弊害を軽減することができます。従業員のカウンセリングは比較的コストもかからず、この厳しい局面には大きな効果を生むでしょう。このような取り組みを、業務改善の新しいアイデアを引き出すようなインセンティブと組み合わせて提供してはどうでしょうか。そうすれば、この困難な時期にポジティブな意思表示となります。そしてロイヤルティや高い生産性、優秀な人材の紹介といった「オーナーシップ行動」を促し、組織のメンバーの生涯価値を高めることができるはずです。

2. 従業員オーナーの良心に訴える

 目下の経済危機によって、経営者は将来の競争を勝ち抜いていくために、すべての人材を巻き込む必要に迫られています。いまこそ従業員オーナーたちと協力し、不況に対処するためのアイデアを生み出す絶好のタイミングです。この際、綿密なプログラムは必ずしも必要ありません。大切なのはきちんとアピールすることです。

 それには、既存の取り組みを強化すればいいのです。「最も働きがいのある会社」の常連であるバプティスト・ヘルスケアの場合、「リスニング・アンド・ラーニング」プログラムという継続的な取り組みを導入しています。この取り組みではマネジャーはアンケート結果に関する議論を導いたり、カスタマー・サービスの改善案を求めたりします。その成果は『カスタマー・スナップショット・レポート』として一般配布用にまとめられ、従業員の見解やアイデアのすべてが記載されます。

3. 人材をアップグレードし、硬直化を避ける

 勝者は勝者と仕事をしたがり、敗者も勝者と仕事をしたがります。しかし、勝者は敗者と仕事をしたがりません。この場合、敗者とはどんな人でしょうか。意外にも、パフォーマンスが平均以下の人たちはほとんどこれに該当しません。彼らはコーチングやしかるべき支援を受ければ生産性を向上できるからです。それよりも、組織の規範を乱し、共有されている価値観に従えない人が敗者となります。組織や文化の観点から、そのような人は同僚から「身勝手な者」と見なされますが、「数字を達成する」能力によって許容されています。しかしほとんどの場合、敗者とは単に仕事に対する意欲や情熱を欠いている人や、必要以上の貢献をしない人が該当します。

 いまは、敗者に去ってもらうことで、組織内の人材の平均レベルを引き上げるべき時期といえるでしょう。かといって、採用を凍結すればいいというわけではありません。むしろ、人材市場の停滞を逆手に取り、理想的な人材を競合他社や他組織から引き抜くという戦略的採用の好機かもしれません。

ゴールドスミス
 ありがとうございました。見事なアドバイスですね。オーナーシップ指数の詳細についてはウェブサイトwww.ownershipquotient.comを参照してください。


HBR.ORG原文:Keeping Your People Engaged in Tough Times April 17, 2009