ビッグデータを全社で共有し
潜在的なチャンスをつかむ

――企業においては、誰がデータ・ガバナンス戦略を策定するべきでしょうか。

デイビス まず、その前提として欠かせないものがあります。それは、組織の中に「ファクトベースの意思決定」という文化を根付かせることです。経営や業務の現場などさまざまなレベルにおいて、事実やアナリティクスの結果を受け入れるという文化です。そのうえで、それぞれのビジネス部門がデータ・ガバナンス戦略を策定します。

 IT部門は前面に出るというよりも、各ビジネス部門のサポート役を担うことになるでしょう。一方で、アナリティクスの専門スキルは集約させる必要があります。大企業は情報システム関連の問い合わせを受けるヘルプデスクを持っていますが、それと同じような機能をアナリティクスについても用意するのが効果的だと思います。

――その際、CEOの役割とはどのようなものでしょうか。

デイビス 二つの事例を紹介しましょう。一つ目はオーストラリアの金融機関です。その金融機関では、「根拠に基づいて行動できる企業にしたい」というCEOのビジョンに沿って、各部門に「大量のデータをいかに活用するか」という課題が示されました。各部門はデータ活用法を考え、それを実行に移し始めています。もう一つはイギリスの金融機関です。ここでもCEOが「既存のデータだけでなく、ソーシャル・メディアの情報も活用すべきだ」とのビジョンを示したうえで、各部門が連携してさまざまな課題解決にビッグデータを活用しています。

 これらの例のように、トップのコミットメントがあることが望ましい。それは全社的なビッグデータ活用を促進します。部門単位での取り組みでも一定の効果を得ることは可能ですが、より大きな潜在的チャンスを逃すことになりかねません。

――部門横断的な取り組みにより、ビッグデータの価値を一層高められるということですね。

デイビス そのためには事業ごとの縦割り組織の壁を乗り越え、全社でビッグデータをシェアする必要があります。それは、多くの企業にとっての課題です。代表的な例は顧客データです。現状では、事業ごとに顧客データが囲い込まれていて、全社で共有されていないケースが多いのではないでしょうか。A事業部の持つ顧客データが、B事業部から見えないという状態であれば、顧客をトータルにとらえることはできません。