●適切なタイミングで打ち切ることができる。ソリューションに巨額の資金を投入しておらず、自分たちの存在を賭けてもいないので、時間と労力を大幅に節約できる。ソリューションの素晴らしさを吹聴したり、価値を生まなくなっても固執したりする必要がないからだ。矛盾をはらんだまま進めるのはよくない。

「永続的でなくてもよい」というマインドセットから生じるこれらの効果は、実行力を飛躍的に高めてくれる。つまり、何かをやろうと考え、語り、計画し、議論するに留まっていた物事が、実際の行動に結びつくのだ。

 私たちは誰しも変わる。状況も変化する。周りの人たちも変わりゆく。だから手段も変えていくべきだ。そのためのヒントをいくつか紹介しよう。

●取り組む手段と、その成果を区別する。結婚、禁酒、健康維持、企業の高収益化などは成果であり、これらは永続的なものとなりうる。しかしそれを実現するための手段は、一時的なものでよい。

●その取り組みからどんな価値を得ているかを見極める。やがてその価値が生じなくなったら、打ち切って次に進むべきである。

●取り組みを見直す時期を決めておく。やめたのが正解なのか、続けるのが間違っているのか、と自分の判断を後悔ばかりしているのはよくない。そうなると成果を上げるまで続けることができず、意思が弱くなった時に打ち切って後から悔やむことになる。そうではなく、見直す時期を決めておき、その時が来るまでは全力で取り組むのがよい。

 1カ月前に私が肉類と乳製品を絶とうと決めた時、自分は太ったと感じていた。すっきりした体を取り戻したかったので、ビーガンになろうと思った。加えて、私は精神的に大変だと感じ冷静さを失っている時は、落ち着きを取り戻すために何かをやる。髪を切ったり、食習慣を変えたりといったことだ。これは残りの人生を落ち着いて過ごすための、対処メカニズムなのだ。落ち着きを取り戻したら、おそらくまた食習慣を戻すだろう。

 ただし、取り組みを永遠に続ける必要がないからといって、何もかも長続きしなくてよいというわけではない。私は旧友たちに言った。「僕の食習慣のように、長く続かないことも世の中にはあるんだ。この現実と折り合っていかなきゃ。同じ選択を続ける必要はないし、次に会った時はまた違う食べ方をしてるかもしれないよ」

 それから最後に、こう付け加えた。「でも、心配しないでくれ。僕らのこの定例会みたいに、永遠に続くものだってあるさ」


HBR.ORG原文:Why the Best Solutions Are Always Temporary Ones October 8, 2010