これらのストーリーには、ある共通のテーマが存在する。それについて語る前に、リンドン・ジョンソン元大統領が少数党の院内幹事という「重要でないポスト」をいかに利用して、史上最年少の上院多数党院内総務の座に就いたのかを描いたロバート・カロの名著、Master of the Senateもここに加えておきたい。

 これらのストーリーに共通する1つ目のテーマは、仲介役を務めることの重要性である。関わり合いのない人々を結びつけ、互いにメリットを生じさせることができる立場にあれば、それは権力を意味している。ロナルド・バートはこれを「構造的空隙を埋める」と呼んでいる。

 2つ目のテーマは、戦略的でワクワクするような、魅力に満ちた仕事を誰もが欲しがっている、という事実を認識することである。しかし、組織の目標達成は――ある意味軍隊のように――たくさんの平凡な業務の上に成り立っている。アナリスト採用業務は、ヘッジファンドの投資業務ほど血沸き肉躍るものではないかもしれないが、誰かがやらないと会社からアナリストがいなくなってしまう。やりたがる人が少ないため、これらの地味だが不可欠な職務に就くのはそれほど難しくない。そうした職務を遂行すれば、その重要性を認識しながらも自分自身は花形の職務に忙しい人たちから大いに感謝されることになる。

 3つ目のテーマは、事務作業のように見える仕事が往々にして、社内の多くの人々との接点となり、コミュニケーションの流れの中心になるということである。情報の流れの中心に位置を占めれば権力の要素となり、自分の存在を多くの人に知ってもらうことも非常に有益である。ヘッジファンド会社のマイクの場合、アナリストの採用プロセスが社員全員と接触する理由になった。メリンダの場合、人々がセミナーに興味を持ち、誰を招待すべきか提案したがったため、彼女を中心としたコミュニケーションの輪がすぐにできあがった。メリンダはまた、横のつながりが弱い社内において、幅広いネットワークを有する人物となった。リンドン・ジョンソンは、票の割れない議題であっても投票の地道な調整を引き受け、顔を売り、重要な議題に対する議員たちのスタンスを把握していった。議会にとって重要な任務を遂行しただけでなく、上院議員たちと定期的に接触することで、みずからが情報源となったのだ。

 上記のような条件がそろった、同僚たちが気にも留めない任務に注目してほしい。小さなところからパワーベースを積み重ねていった人たちの例を見習おう。


HBR.ORG原文:Build Your Power Base from Small Beginnings August 25, 2010