職場のテーマパーク化は
ブリコラージュという思考に該当

 実は、職場のテーマパーク化は、ブリコラージュと呼ばれる思考に該当する活動です。ブリコラージュとは、フランスの文化人類学者であるクロード・レヴィ=ストロースが彼の著書『野生の思考』の中で提示した知のあり方で、本来その目的のために作られた物ではない、ありあわせの材料で、ある目的にかなう全体を作り上げる作業を指しています。

 しかも、このブリコラージュは、何か体系だった概念を使うのではなく、見た目の外見が似ているという類似性からの連想で、ありあわせの材料をうまくつなぎ合わせて、ある目的にかなう全体を作り上げることです。生産ラインで不要になった部品供給用のコロコンを部品棚として再利用し、形状の類似性から「そうめん館」と名付けて活動を展開している事例は、まさにこのブリコラージュに該当します。

 科学的思考と呼ばれるものが、目的から出発して手段を考える思考であるのに対して、ブリコラージュと呼ばれる思考は、ありあわせの手段・材料から出発して、試行錯誤を通じて最終的には目的にかなう全体を作り上げる現場発の思考法なのです。そして、このブリコラージュという活動の中に、現場発の文化創造というメカニズムが内包されています。

 つまり、ブリコラージュは、ありあわせの材料から出発して、物との対話を通じて徐々に目的・秩序が形成されるという側面がありますから、現場発の文化創造に結びつくわけです。3S活動を継続し、工場の文化創造に結び付けるためには、このようなブリコラージュの思考が重要であり、それ故に、職場のテーマパーク化は理にかなった活動であると考えることができます。

慣習的行為が文化を創造する

 文化の創造というと、とかく文化の内容そのもの・中味を議論しがちです。そして、その文化を文字や言葉によって表現し、それを共有しようと考えがちです。経営者は組織が重要と考える価値観や経営理念といったものを言葉で表し、その内容を現場の末端まで浸透させることで、文化の創造・共有を図ることができると考えがちです。

 しかし、本稿のスタンスでは、文化は誰かが創造し、組織に共有・浸透させるものではなく、むしろ3Sのような慣習的行為を組織に定着させ、日々実践することで、結果として、絶えず生み出され更新されていくものであると捉えます。このように考えると、文化の中味を創造・共有するのではなく、文化の中味を創造しうる慣習的行為を共有・定着させることこそ、文化の創造にとって重要になると考えられます。

 次回は、このような工場の文化を創造していく発見型改善を実際に推進していく際に求められるミドルマネジャの役割について述べたいと思います。