●すべての顧客を推薦者にすることを目標にしない

 急速な成長に向けて猪突猛進している幹部は、顧客全員から推薦を得ることを目標にしたり、望んだりする。それは焦点を見失う原因になるので、やめるべきだ(今日では他にも、集中を乱す要素には事欠かない)。比較的少数の、戦略的に大きな意味のある推薦や支援を確保することに集中しよう。今日では、「支援部隊」は高付加価値のみを提供してくれる少数精鋭にするほうが効果的だ。

●顧客への価値提案を再定義する

 顧客からの支援に対して金銭的な報酬を提供したり、他の不適切な方法で誘惑したりするという間違いを犯す企業がある。これは多くの理由から、賢明ではない。倫理にもとり、買い手にも見抜かれ、会社にとっても健全ではない。よい評価を広めてくれる推薦者が見つからないのであれば、製品やサービスの提供方法を変えよう。当然のことながら、顧客による支援は、顧客自身が心から製品やサービスに惚れ込んでいるから、という理由が望ましいはずである。

 しかし、優れた製品やサービスを提供している企業でも、推薦者の「燃え尽き」を招いてしまうことがある。推薦、イベント参加、メディア取材への協力などの依頼を続けると、彼らを疲れさせてしまうのだ。これが起こるのは、必要なときだけ担当者が支援者に連絡を取り、支援を「お願いする」と捉えている場合だ。

 効果的な紹介プログラムとは、こうした「へつらう」ようなアプローチではなく、より包括的な顧客価値の提案となるものである。最初に、提供する製品やサービスが約束を果たし、結果を出しているかを確認する。これは始まりに過ぎない。続いて、推薦者たちのニーズにしっかり寄り添う。企業のマーケティング上のメッセージを、顧客の発するメッセージに可能な限り整合させるのだ。そして推薦者と他の顧客との連携を後押しする。また、ケーススタディやメディアで推薦者の体験を取り上げる際には、企業の製品・サービスよりも推薦者自身の成功体験を強調し、推薦者の経歴が高まるようにする。こうした取り組みにおいては、顧客による推薦は企業からの一方的な「お願い」ではなく、相互にメリットをもたらす価値提案なのだ。

 あなたの会社の潜在顧客が、連帯を望むような既存顧客と交流できるように、しかるべき影響力を持つ人物が取り組んでいるだろうか。そうでないならば、以上で述べた方針に基づいた顧客紹介プログラムの構築を検討してみてはどうだろうか。


HBR.ORG原文:Customer Reference Programs at The Tipping Point June 7, 2012