先の問いに対応するための指針となる、5つの重要事項を紹介しよう。

●支援者層の構築を目的とした顧客紹介プログラムを立ち上げる

 多くの企業が、顧客による推奨やその他の支援(紹介、品質の評価、クチコミ、情報の拡散、メディアやブログでの証言など)を成り行きに任せ、高い目標を設定せずに、非公式で統一感のないプロセスにしている。これは大きな間違いである。あなたの最も忠実で情熱的な顧客でも、あなたの会社を他人に紹介しているとは限らないのだ。通信業界と金融業界を対象とした研究では、NPS調査によって「プロモーター」(推奨者)とされた顧客のうち、新規取引を実際に呼び込んだのはわずか10%だった( NPS:推奨者の正味比率。推奨者とは「その製品・サービスを知人に紹介する可能性が非常に高い」とアンケートで回答する顧客のこと。詳しくは前回の記事を参照)。この数字を高めるためには、組織化されたプログラムと戦略的なアプローチが必要だ。

●顧客による紹介を、成長戦略の中心に置く

 セールスフォース・ドットコムを成長させるにあたり、マーク・ベニオフは支援者となる顧客の育成を最重視した。数百万ドルのマーケティング予算を持つ大手企業に挑戦するうえで、そうした支援者が最良の資産になると考えたのだ。ベニオフは創業当初から顧客紹介プログラムを立ち上げ、人材を配置した。取り組みを通して支援者を特定し、増えゆく支援者層を基にデータベースを構築し、最も価値を提供してくれて能力も高い支援者と絆を育んでいった。さらにそうした支援者から、製品についての評価やメディアでの証言、イベントでの講演といった協力も引き出した。またベニオフは、支援者の活用を制度化した。同社は5段階の販売プロセスを採用しているが、うち3つの段階で支援者との連携が求められる。支援者を育み絆を強めるための新たな方法を開発し続ける同社の能力は、ピア・トゥ・ピア・マーケティング全盛の今日においてコア・コンピタンスの1つとなっている。

 インテルのソーシャルメディア戦略は広く称賛されているが、その取り組みはセールスフォース・ドットコムと似た経緯をたどっている。多くの企業はソーシャルメディアを活用した取り組みをIT担当者に任せているが、彼らはやがて顧客と絆を深めるアイデアを切らしてしまい、既存顧客と潜在顧客の交流機会をつくることもできなくなる。インテルで顧客紹介プログラムを担当するレット・リベングッドは、ソーシャルメディアのチームと緊密に連携し、魅力的なコンテンツを供給し続けている。それらは潜在顧客が確実に興味を示す情報源、つまりインテルの既存顧客から提供されたもので、動画、体験談、ブログの投稿やコメントなどで構成されている。こうしたコンテンツのおかげで、同社ウェブサイトでのページビューや潜在顧客からの問い合わせは大幅に増加した。

●顧客紹介プログラムの担当者を、戦略会議のメンバーに加える

 先に挙げた問いが、企業の成長目標を達成するうえで重要だと思うなら、それらに関する責任を下位のマネジャーに委ねたままにしておくべきではない。経験豊かな幹部社員を紹介プログラムの責任者に据えよう。あるいは少なくとも、影響力を持ちプログラムの重要性を理解している上級幹部に後押しさせる必要がある。その人物には戦略会議に加わってもらうのだ。

 とある売上高30億ドルのソフトウェア企業では、優秀な上級幹部がみずから紹介プログラムを運営し、年次計画の策定と新製品発売の会議に出席する。彼女は上級幹部たちに、成長目標を達成するためには何人の顧客から、どのような支援が必要かを示す。そしてプログラムの運営、適切な推薦者の獲得、ケーススタディやビデオなどのコンテンツをそろえるために必要な予算も示す。それらはすべて、彼女のチームが何年もかけて積み上げた膨大なデータに基づくものだ。