つまりこういうことだ。作業が重要であればあるほど、中断が入れば脱線が大きくなり、完了が難しくなる。

 ショーンに尋ねた。「秘書が邪魔をした時にはなんて言うのですか」

「彼女にもう一度念を押します。邪魔をしないでほしいと言ったはずだ、と」

「なるほど。それから?」

「彼女は、ちょっとだけですから、と言って質問や相談をしてきます」

「それで?」

「その時点で作業はもう中断していますから、彼女に失礼にならないように、要求されたことを答えます。そしてもう邪魔をしないように頼むのです」

 ここが、ショーンが間違っている部分だ。そして私もである。「あの人は、頼んだことをいつも守ってくれない」と嘆くことがある読者はいるだろうか。たぶんあなたも、間違っているひとりだ。私たちは相手に好かれようとして、過度にいい人であろうとする。失礼だと思われるのが怖いのだ。

 残念ながら、このやり方はよくない。ルールを決めておいて、それを破ることを許していては、相手の自分に対する好意ではなく無視を助長するだけである。

 ショーンが秘書に言うことを聞いてもらいたいのなら、首尾一貫していなければならない。例外は認めてはいけない。一方で、秘書が邪魔を続けているのはなぜかを理解する必要がある。ショーンは出張でオフィスをよく留守にしているため、いつ連絡を取れるか秘書はわからなかったのだ。彼がオフィスにいる限り、確実に会える。彼女は嫌がらせをしているわけではなく、自分の務めに忠実であろうとしているだけなのだ。

 この問題を解決するには、ショーンは次の2つを行う必要がある。

1.秘書との定期的な面談を設定し、質問や相談に答える。キャンセルはしない。

2.それでも秘書が仕事を中断してきたら(きっとそうなるだろう)、何があろうと面談日時まで待つように、笑顔など見せずきっぱり言い渡す。

「もしそれが、短い質問ならどうするのですか。たとえば、今日のランチのアポを確認させてください、とか」ショーンはこう返してきた。

「これは難しいかもしれないし、おかしいと思うかもしれませんが・・・・・・答えてはいけません。とにかく邪魔をしてはいけないことを伝え、あとは沈黙で圧倒するのです。彼女にルールを守らせたければ、あなた自身がルールを守る姿勢を見せてください。たとえそうすべきではない状況であってもです。一度破ればなおざりになってしまいます」

 少しおののいた様子のショーンは最後に、「それは、ちょっと嫌な感じになりますね」と言った。

「その通りです。あえて嫌な空気をつくり、彼女に居心地の悪い思いをさせるのです。それでこそ、二度と邪魔をしなくなるでしょう」私は答えた。