マネジメントの25の課題

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 参加者たちを結びつけているのは、マネジメントの重要性に対する共通の信念、そして新たな時代に適したマネジメントを再定義しなければならないという切迫感である。それらの信念をまとめると、以下のようになる。

 第一に、マネジメント――経営資源を動員して何かを達成するためのツール・手法――とは、人類にとって最も重要な社会工学のひとつである。

 第二に、ほとんどの大企業で見られるマネジメント・モデルは、とんでもなく時代遅れである。このモデルは19世紀後半に、ひとつの重大な問題を解決するために生み出された――熟練ではない人間に同じ作業を繰り返しさせながら、完全な再現性と効率の向上を維持するにはどうすればよいか。これは今日でも重要なことかもしれないが、現在の企業が最優先すべき課題ではない。

 したがって第三に、私たちは大企業がもっと適応力を持ち、革新的となり、魅力的な職場となるように、マネジメントを根本から再定義しなければならない。つまり、組織をより人間味あるものにするということだ。

 白熱した2日間にわたる議論を経て、「マネジメントの大いなる課題」が立ち上がってきた。詳細は『ハーバード・ビジネス・レビュー』2009年2月号(邦訳『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2009年4月号)をご覧いただきたいが、以下に全25の課題を要約しておこう。

1. 経営陣がより次元の高い目的を果たす

 経営陣は理念と実践の両方において、崇高で社会的意義のある目標の達成に向けてまい進しなければならない。

2. コミュニティ重視の姿勢や企業市民としての自覚を、マネジメントに深く根づかせる

 あらゆる利害関係者は互いに依存している、という事実を反映するプロセスと慣行が必要である。

3. マネジメントの哲学的土台を再構築する

 単に効率的である、という以上の組織をつくるには、生物学や神学といった分野、民主主義や市場といったコンセプトから幅広く教訓を探る必要がある。

4. 従来型の階層制の弊害を取り除く

 自然発生的な階層では、下部にいる人々が大きな権限を持ち、リーダーは指名されるのではなくみずから頭角を現す。これにはさまざまなメリットがある。

5. 信頼関係を深め、不安を和らげる

 不信・不安は、イノベーションやエンゲージメント(従業員参加)を妨げるため、21世紀のマネジメントからは無くさなくてはならない。

6. 管理手段を刷新する

 規律か自由か、というトレードオフを超越するためには、他者による締めつけではなく自己規律を身につけさせる手段が必要である。

7. リーダー層の仕事を問い直す

 英雄的な意思決定者が「ツルの一声」ですべてを決める、というリーダー像はもはや支持されない。イノベーションとコラボレーションを促す環境づくりをリーダーの使命とすべきである。

8. 多様性を高め、活用する

 多様性、意見の相違、少数派などを、調和、合意、結束と同じくらい重視する必要がある。

9. 戦略立案プロセスを改め、創発を促す

 移り変わりの激しい環境では、変異、淘汰、保持といった生物界の原理をもとに戦略立案を行う必要がある。

10. 組織の脱構築と分解

 適応力と革新性を高めるために、大きな組織を細分化し、小回りを利かせる。

今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー