Step2◆顧客の「真の課題」は何か?

 私たちが経営コンサルティングをする際、最初によく言われるのは、「わが社の重要な課題はこれです。その解決法を考えてください」ということです。ところが実際に、その会社のデータ分析をしてみると、顧客の課題認識は「本質的問題」ではないことがわかります。さらに社内ヒアリングを続けると、顧客企業が「自社の課題」と思い込んでいる事柄は、「本質的問題」に関係のない「表面的な事象」であることがはっきりします。驚くことに(困ったことに)、全社業績に目を光らせる経営陣(社長も!)たちの認識も、担当者レベルという傾向が見られるのです。

 そうした企業は、問題事業部を抱え、業績が悪化し続けているわけですが、担当者たちは(経営陣も)「その原因は明らかで、自分たちはそれをきちんと捉え解決に取り組んでいる」と考えています。それなのに成果が出ないと言って、最終的に私たちのところへ駈け込んでくるのです。

 賢明な読者のみなさんは、すでにおわかりだと思いますが、そもそも課題認識が間違っているのですから、業績悪化は当然の結果なのです。言い換えれば、業績向上を阻む「本質的な課題を発見する」ことがいかに難しいか、ということです。

 したがって、質問者の悩みに対するアドバイスは、「顧客企業が抱える本質的な課題を理解する」、これに尽きます。まず、「なぜ売上が上がらないのか」「なぜ生産性が上がらないのか」「なぜ収益性が良くならないのか」について理解する。ITシステムは生産性や収益性の向上を支援するインフラの一部ですから、顧客が本来求めるサービス・機能と、自分たちが提供する情報システムのそれとの乖離を理解しない限り、顧客が驚くような提案はできません。

 もはや、既存の提案書で受注競争をする時代ではありません。顧客が抱える「本質的な問題」を仮説ベースで明確にする、それを解決するための方法を示す、これら2つが営業の「武器」になるのです。それには、「正しい質問をする」、つまり、言葉による分析が必要です。

 こうして仮説ベースで導き出した課題は、従来の提案内容とは違う「顧客企業の業績向上に直結した」ものになるので、その新しい取り組みがもたらすメリットを明示すれば、顧客はリターンを想像して、大きな成果を期待します。これで、提案に対する否定的な考えを捨てさせることができるはずです。

 そして、最後は、顧客企業の意思決定者へのプレゼンテーションで締めくくる。顧客は、こちらのスタッフの実力、能力を見極めようとします。ここを突破できれば、その提案は競争目的の相見積もり的な域を脱し、受注を前提とした確認書になるのですから、値下げ交渉は起こりにくくなるのです。

◆クロージングのポイント◆
1.提供する製品やサービスの価格以上の価値を顧客に感じさせる。
2.顧客企業の担当者が考えている「自社の課題」が、顧客の「本質的問題」かどうかをまず疑う。
3.そして、顧客企業が抱える「本質的問題」を理解するために、徹底的に質問し続ける。

◆具体的なアクション◆
1.顧客が抱える「本質的な問題」を仮説ベースで明確にする。
2.「顧客が驚くこと」を提案する。
3.顧客企業の意思決定者へのプレゼンテーションを経て最終決定に持ち込む。