Step1◆顧客は「何を」「どのように」判断するか?

 では、提案書の「何を」「どのように」評価するのでしょうか。

 通常は、提案会社と競合の提案書を比較しますが、顧客から見れば、両者のアプローチに違いはなく、それ以上の価値を引き出せない以上、残るは価格交渉だけ、ということになるでしょう。

 そこで、顧客に対し、提示価格より高い価値を感じさせる(競合に差をつける)提案書をつくる方法を考えてみましょう。

 そもそも、提案内容が似通ったものになるのはなぜでしょうか。それは、「顧客が抱えている『真の問題』を解決するために何をすべきか?」を提案しているのではなく、単に自社が考えるプロジェクト提案をしているからです。顧客企業にしても、自社のシステム上の問題をITコンサルティング会社に伝え、その解決法を依頼しているので、落としどころはある程度予想でき、そのため提案に大きな価値を感じないのかもしれません。

 顧客に価値を感じてもらうためには、「顧客が驚くこと」を提案することが肝要です。顧客が知っていることや結果を予想できること、つまり提案内容が顧客の想定内であれば、顧客にとって「試してみる価値」が低いことになり、その提案の価格交渉力は弱くなります。

 そこで、まず考えるべきは、「顧客が知らないこと」を見つけること。その軸となるのは、売上向上と利益向上です。

 これは、顧客の状況にかかわらず、企業活動にとって永遠のテーマです。ところが、顧客企業の担当者は、自分の役割しか見えない。ともすれば、自社の事業が本来目指している目的を見失いがちです。

 たとえば、メーカーの購買部門であれば、購買品の価格、品質、納期などが重要な評価基準になるでしょう。質問者のケースでいえば、顧客にとっての関心事は「自分たちの課題を解決するのにどれぐらいの工数、費用がかかるか」だけ。つまり、自分の仕事(その本来の目的)が、自社の業績向上に大いに関係していることを忘れてしまうのです(多くのビジネスマンは、そのようなトレーニングを受けていないので、仕方のないことですが)。

 ここで、質問者に考えてもらいたいのは、「顧客企業の担当者が考えている『自社の課題』は正しく定義されているか?」ということです。つまり、本質的問題(原因)を発見したとして、それを顧客と質問者が共有できるかどうか。

 もし、顧客の課題認識が「本質的問題」と異なるところにある場合、たとえ「正しい」解決方法を提案しても、それは、顧客にとって「期待した解」にはなりません。