「責任ある企業」への転換を草の根で進める

 日本では、ゴミの分別やリサイクルなど、草の根で環境保護を進める活動がかなりおこなわれています。日本人というのは、「責任ある企業」と相性がいい国民なのかもしれません。今後は、同じようなことを仕事でもおこない、事業の進め方を責任ある形へと草の根的に転換していけばいいのではないでしょうか。

 だいたい、家庭ゴミは廃棄物の25%にすぎず、残り75%は企業から排出されているのです。このように産業規模で発生している負荷は、産業規模で減らさなければなりません。そのためには、会社で仕事人としてしている業務を改善していく必要があります。

「そう言われても、社内で権限がある立場でもないし……」と思うのが普通でしょう。大丈夫。それは取り越し苦労にすぎません。ウォルマートの例からもわかるように、確実にコストダウンになることから始めればいいのです。『レスポンシブル・カンパニー』の巻末には、5種類の責任分野のそれぞれについて、具体的な方策のアイデアがたくさん挙げられています。その中から、自分の会社で実行可能ではっきりとコストダウンするものを選んでやってみればいいわけです。そうして実績を積み上げていけば、ほかの人たちを巻き込めるようになるはずです。

 実は、パタゴニアもそういう流れで歩いてきた結果、いまのようになったにすぎません。なんといってもパタゴニアは、もともと、手っとり早く稼ぐために作られた会社だったというのですから。クライミング道具の製造・販売は体力的にも経営的にも大変なので、事務仕事だけで簡単かつクリーンに儲けられる会社にしようとして作られたのがパタゴニアなのです。それが、コットンが石炭に負けず劣らず汚いなど、放置はまずいと常識的に思う問題に直面したとき、人として常識的な対策を取った結果、たまたま、そのほうが事業も健全になると気づき、いまにいたったわけです。

『レスポンシブル・カンパニー』を読むと、責任ある企業になるべきでない理由もなれない理由もないことがわかります。責任ある企業になればコストは削減できるし、評判も売上もあがれば、社員一人ひとりのやりがいも生まれるというのですから。そもそも、地球をダメにしてしまったら事業もなにもあったものではありません。責任ある企業になるための方策も、その進め方も、ヒントや実例が豊富に示されています。あとは、本書を読んだ人々が目標に向けた一歩を踏みだすか否かだけです。

 

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レスポンシブル・カンパニー パタゴニアが40年かけて学んだ企業の責任とは

 

アウトドア系ブランドのパタゴニアの創業者であり、ロングセラー『社員をサーフィンに行かせよう』の著者、イヴォン・シュイナードの最新作。

同社が40年かけて試行錯誤してきた 地球環境保全や品質向上の取り組みを提示、社会的責任とビジネスをいかに両立させるかを説く。

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