必要な情報を、必要な時に受け取っているか

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 どの情報形態が最も重要であるかは、ある程度は業界によって左右される。技術系企業の場合は、製品開発パイプラインが極めて重要となる。ある衣料小売チェーンの場合は、各店舗の在庫水準が最重要であった。この企業は何年もの間、正確な在庫情報をまとめ、マネジャーが容易に情報を入手できるように努めていた。インタビューを行ったオンラインのギフト企業のように、主にウェブ上でビジネスを行う企業では、全体のサイクルタイムが大半の企業と比べて格段に速く、顧客のオンライン行動が最も重要な情報となる。ユニークビジター、各ページの閲覧時間、クリックスルー、コンバージョン、注文の放棄率など、すべて重要な情報である。

 当然のことながら、経済状況(そして企業が危機に直面しているか否か)は、組織の情報ニーズにおける主要な決定要因となる。景気低迷時には、幹部は売掛金や買掛金に関する情報をより迅速に入手したいと考え(50%がそのように回答)、その後には、予算・支出・コストに関する情報(50%)、キャッシュフローに関する情報(47%)、戦略的・業務上リスクに関する情報(40%)、従業員の業績・生産性に関する情報(36%)が続く。一方、経済成長期に幹部が迅速に入手したいと考える情報は、従業員満足度(27%)、市場シェア(13%)、在庫水準(12%)、サプライヤーやパートナーに関するデータ(12%)、シナリオ計画・シミュレーション(12%)となっている。

 上記のように、経済成長期と比べ景気低迷時にはるかに割合が大きい項目があることに留意してほしい。品質、市場シェア、競合他社に関する情報など、いくつかのカテゴリーでは経済状況の違いによる差異が大幅に少なくなっている。

 情報のサイクルタイムに関する希望は、業界やその他の要因によってさまざまである。たとえば売上高については、インタビューを行ったオンラインのギフト企業は1時間ごとにモニターする必要があると答え、携帯電話の中継塔を所有・貸出する企業は1週間ごと、また工業系企業の出力タービン事業は1カ月ごと(1年の売上が12件のみである可能性がある)と答えている。

 しかしあらゆる業界の調査回答者が、ある種の情報については、他の情報よりも迅速に入手する必要があると明確に答えている。現在幹部が受け取っている情報のうち、一番速く提供される情報(実際にかかる時間と1日当たりの頻度を組み合わせたもの)は、売上高、そして競合他社と顧客に関する情報である。入手までに最も時間のかかる情報(すなわち、年度毎または四半期に1度受け取る情報)は、従業員満足度、市場シェア、顧客満足度、シナリオ計画やシミュレーションであった。

 調査回答者が入手したいと考えている情報(現在受け取っている情報以外)については、情報提供の頻度を最も高めてほしいカテゴリーとして、競合他社に関する情報、売上高、顧客に関する情報が挙げられた。迅速性が最も必要とされない情報の種類は、市場シェア、従業員満足度、シナリオ計画・シミュレーション、従業員の生産性や業績であった。

 おそらく、この調査における最も驚くべき発見のひとつは、全員が今まで以上に情報を早く入手したいと考えているわけではない点だろう。現状よりも情報提供が迅速に行われることを望む回答者の割合は、在庫情報について36%、競合他社に関する情報が38%という低いものから、顧客満足度について61%、従業員満足度が71%と高めのものまで、多岐にわたる。これらの結果から、たとえ実行可能であったとしても、すべての情報をリアルタイムで提供することに価値があるわけではない、ということがわかる。

 次回は、本当に重要な情報をより早く提供するために、企業が取りうる対策について説明しよう。それまでの間、読者の方々には忍耐強く待っていただきたい。


原文:Are You Getting the Information You Need When You Need It? May 13, 2010
 

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