「顧客が買う量を減らす」――そのために、パタゴニアではコモンスレッズ・イニシアティブというものを展開しています。

 このイニシアティブでは、造りが粗いものやすぐ流行遅れになりそうなもの、必要のないものは買わないと誓約することを顧客に求めます。その代わり、パタゴニアは、長持ちする有益な製品を作ることを誓約しています。また、製品が壊れたら、捨てたり代わりのものを買う前に、まず修理すると誓約することも顧客に求めます。その代わり、パタゴニアは、修理部門を拡充し、短時間で修理できるようにします。不要になったウエアは、それを必要とする人に売るか譲るかすることも顧客に求め、パタゴニアはその手伝いをするとしています。最終的に使用不能になった製品は、顧客とパタゴニアが協力して回収し、リサイクルに回します。さらには、自然が再生できる範囲に自然の消費を抑える世界を作るとパタゴニアも顧客も誓約しようと呼びかけてもいます。

 環境保護といえばリサイクルと思う人も少なくありませんが、実は、リサイクルは最後の手段。やるべきことを優先順位で並べると、リデュース(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)、リサイクル(再生)となります。

 最近では、ユニクロなど、製品リサイクルの回収箱を置いているところが増えていますし、その一部はリユースに回されていたりもします。しかし、リペアやリデュースまで推進しているところは見かけません。私が知っている範囲ではパタゴニアくらいです。

 ちなみに、このコモンスレッズ・イニシアティブ、パタゴニア店内のかなりめだつところに掲げられています。たとえば、吉祥寺店では、店舗入り口から見て正面の壁、地下フロアへ降りていく階段のところに大きく掲げられています。

 店舗の中央、レジ近くの柱にも、コモンスレッズ・イニシアティブをはじめとする環境関連の訴えがディスプレイされています。

 日本は、ゴミの分別やリサイクルなど、草の根で環境保護を進める活動がかなりおこなわれています。それはそれで大事なことですが、本来、もともとゴミとなるモノの量が減り、分別やリサイクルする量が減るならそのほうがいいはずです。でも、ゴミを元から絶つ動きにはめったに出会えません。

 シャンプーなどはかなり前から詰め替え用が売られていますが、単位容積あたりの価格はボトル入りのほうが安かったりします。入り口となるボトル入り製品の価格を安くして新しい顧客を呼びこみたいという思惑がメーカーにあるからだと思われますが、なんともちぐはぐな状況になっていたりするわけです。

 小さな動きですが、最近、いい方向に動いているのがスーパーなどの買い物袋。買い物袋を有料化すればゴミが減るという話は昔からありましたが、「そんなことをすればお客が他店に流れる」と言われてなかなか普及しませんでした。最近になってようやく広がりつつあるのは、有料化してもお客が離れることはないとわかったからでしょうか。