手数料水準は適正か?

 一方、郵便事業をある意味で救済する郵便局株式会社については、営業収益に特徴が見られる。2011年度の決算によると、窓口業務を担当する郵便局の営業収益1兆2084億円のうち、郵便窓口業務等手数料が1832億円(15.2パーセント)、銀行代理業務手数料が6191億円(51.2パーセント)、生命保険代理業務手数料が3842億円(31.8パーセント)、その他手数料収入等が219億円(1.8パーセント)となっている。つまり、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の2社からの手数料が約1兆円あり、それが営業収益の83パーセント程度を占めているということである。

 窓口業務を営む郵便局に対する手数料がどういう基準で計算されているのかにもよるが、郵便局内の専有面積でいえば、実際に物流が生じる郵便事業の割合が高くても不思議はない。取引頻度など、窓口業務に掛かるコストの面からいっても、郵便局の業務コストの83パーセントが金融関連であるというのは、にわかに信じるには、ためらいを感じる割合である。

 これが、実質的には金融部門から、郵便事業部門への内部補助金ではないかという疑念が生じた場合、きちんと事情を説明できるように、十分なディスクロージャーが必要とされよう。かりに、手数料の割合が正当化できないとすると、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険からの利益補填によって、郵便事業の赤字が埋め合わされているという疑いを投げかけられかねないはずである。

 なぜ、この点を指摘するかといえば、将来的に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の上場を図るとなると、この問題は、より重要な意味を持つからである。かりに、金融2社が適正水準を超えた手数料を払い続けているとすると、将来の金融2社の外部株主(少数株主)から、日本郵政の株主への利益移転が生じていることになり、利益相反問題となりうる。利益相反問題は、親子上場一般にあてはまる問題ではあるが、直接的な利益移転と疑われると争点になりやすいだろう。

 さらに金融2社が完全民営化されれば、かりに適正水準を超えた手数料の支払いがあるとしても、それが持続可能かどうかは怪しくなろう。もし手数料の支払い水準が高すぎ、かつ、金融2社の完全民営化によって高すぎる手数料の支払いが是正されたとすると、日本郵政・日本郵便による郵便事業の持続可能性に疑問符がつきかねない。