人材の底上げに注力し、
組織全体の能力向上を図る

 共振の経営を推進するうえでの人材理念は、アジア諸国などにおけるビジネスと同様、「BOP」(Base Of the Pyramid)である。一般に、組織には2割の優秀な社員と6割の普通の社員、2割の努力が必要な社員がいると言われる。ベース部分の2割に注力し、その底上げを図ることが、結果的に組織全体の能力を高めると私は確信している。

 よく言われる例だが、桶に入れられる水の量は最も低い側板の高さで決まる。いくら大きな桶をつくっても、たった1枚の側板が低ければ、それ以上の水を蓄えることはできない。

 ユニ・チャームでは共振人材、即ちグローバル人材の必要要件を定義して周知徹底している。それは以下の6点である。

 (1)創造力――危機感を常に持ち、予測困難な不透明な競争環境においても、皆が奮い立つ共通の的を創る力。

 (2)コミュニケーション能力――現場の知恵を経営に活かそうとする“場”を組織や固定観念に囚われず、自ら率先してタイムリーに設定できる力。

 (3)直観力――ありのままの一次情報を例外や偶発事象を排除し、本質を見極めることで早く正しく認識できる力。

 (4)実践力――暗黙知の“勝ちパターン”を形式知の“勝ちパターン”へ、ありのままに転換し、組織で維持するより、将来へ向けてより高く、広く、成果を拡張させるよう転換し“見える化”できる力。

 (5)胆力――共振人材の6要件の重要性と組織で成果を上げることをより重視し、自らの意思やアイデアを集団で実行に導く力。

 (6)徹底力――“勝ちパターン”を、“オーナーシップ”を発揮して、困難を乗り越え“型”として組織に浸透定着させる力。

 以上の6要件を“型”として浸透させる。そのためには、価値観やスキルを形式知化して整理、伝承する必要がある。国境や価値観などの壁を越えるためには、共振の経営に基づいた考え方や行動の仕方を形式知にすることが重要だ。

 そのための取り組みは様々だが、その一例として「ユニ・チャーム ウェイ」がある。キャリアビジョンやキャリアパス、共有すべき価値観、行動指針などを小冊子にして全社員が携帯できるように配布している。英語や中国語、タイ語など6言語にも翻訳されており、日々の業務の手引書として活用されている。

 一方で、共振の経営を実践するために2つのモデルを明示している。個人と組織の能力開発などを目的とする「SAPS経営モデル」と、ものづくりの改善を目指す「UTMSS改善活動」である。いずれも、暗黙知を表出化・形式知化して共有するための場として機能している。

 それは、共振人材=グローバル人材を育てるための場でもある。人材の力を一層高めながら、今後さらに成長するグローバル市場でビジネスチャンスを追い求めて行きたいと考えている。