「ひらめき給」―創造性を高める人事制度

 作家クリス・アンダーソンによれば、ネットがものづくりに革命を起こす。著書『MAKERS』(NHK出版2012年)のなかで、インターネットにつながるデジタル製造機械(3Dプリンターやレーザーカッターなど)の普及が、製造業に大きな変化を引き起こすという。

 かつて、ものづくりは大企業にしかできなかったが、製造装置をもたない一般の人々でも、ネットで自分の設計図を送れば、自分のデザインを形にしてくれる。アイデアさえあれば、だれもがものづくりができる「製造業革命」(メーカームーブメント)が、すぐそこまで来ている。大資本に独占されることのない、「ものづくりの民主化」が起こるのだ。

 このような製造業革命に象徴されるように、創造的な活動は、クラウド上のスマート・テクノロジーに移りつつある。モノの世界でも、カネの世界でも同様だ。ネット上では、多数の個人を対象にしてビジネスを行う、クラウド・マーケティングやクラウド・ファンディングが起こりつつある。当然、その波はヒトの世界にも押し寄せるだろう。

 実際、クラウドHR(Human Resource)とでも名付けられる人材の調達が行われている。業務内容をウェブ化することによって、これまで人材が調達しにくかった産業でも、地理的移動を伴わずに人材を確保することができる。

 そのわかりやすい例が英会話学校だろう。たとえば、「レアジョブ」や「ラングリッチ」などの会社では、フィリピンの英語学校とオンラインで結び、ウェブ上で生きた英会話のレッスンが受けられる。

 数年前までは、英会話スクールといえば、チケットの事前購入や経営破綻をめぐるトラブルが絶えなかった。それが今では、ネットの無料通話ソフトを活用し、海外在住の講師陣を採用することによって、講習1回100円前後という恐ろしい低価格を実現するスクールが、次々と登場しているのだ。