ものの考え方は、往々にして、1つに凝り固まってしまう傾向がある。東京大学の養老孟司名誉教授は、それを『バカの壁』(新潮新書2003年)と呼んだ。違う色のハットをかぶることによって、立場を変えてみることで、思考のギア・チェンジを行うことができる。ハットをかぶり分けることでバカの壁を壊し、水平思考を含めたさまざまな考え方を身につけることができるようになるのだ。

 ラテラル・シンキング(グリーンのシンキング・ハット)では、ものの見方をがらりと変え、パラダイムをシフトし、常識をくつがえすようなブレークスルーを求める。スティーブ・ジョブズが信条とした「シンク・ディファレント」は、まさしくラテラルな思考様式だろう。

 ちなみに神戸大学では、この3つのシンキングをベースにして、各自の創造性の程度を測る検査を開発中である。「神戸大学方式創造性検査」で出されるラテラル・シンキングの例題が、図3に示されている。皆さんであれば、吹き出しにどんな言葉を入れ、どんなタイトルをつけるだろうか?

 評価のポイントは、「パラダイム・シフト(視点の切り替わり)」「ユーモア」「独創性」などである。とくにユーモアのセンスは、ラテラル・シンキングにはきわめて大切な評価ポイントだ。

 ユーモアに可笑しさや楽しさを感じるのは、ユーモアの王道であるロジックの転位である。左脳を働かせると、おもしろみのない当たり前な結末を予想してしまう。それがロジックだ。しかし、ロジックの転位が起こると、事物のつながりがおかしいので、「なにか変だ」という警戒心を引き起こす。

 その一方で、われわれは意外な結末をユーモアと解釈できる。そこには、左脳の働きに加えて、右脳がうまく作用しているからだ。前後のつながりが悪く、ロジックが転位しているがゆえに、意外性をユーモアととらえることができる。ロジック中心のものの考え方とは、別の頭の働きが加わっているともいえる。実は、ジョークの落ちがおもしろいと感じられるのは、右脳の作用が大きいのだ。