思考三位一体理論とは

 そもそも、創造性と近しい間柄にある概念としては、イノベーション、独創性、新奇性、想像力、発想力、着想、インスピレーション、創意工夫など、いろいろなものがある。新しくてためになるものを生み出す能力や活動を示す言葉はいくつもあるため、それをきちんと区別して使い分けることもない。すべて一緒にして考えたくなるのが人情だ。

 そこで、神戸大学では、創造性を3つの思考法からとらえるモデルを提唱している。名づけて「思考三位一体理論」だ。これを図示すれば、図1のようになる。

 第1はロジカル・シンキング(論理的思考)である。これは「論理的に考える力」だ。ロジカル・シンキングの大切さは、あらためて指摘するまでもないだろう。対象となる事物の要素と要素を切り分けて分析し、その関係性を論理的に整理する力は、あらゆる知的活動に共通して求められるものだ。

 実社会で働く場合を考えてみよう。ふつうの仕事に従事していても、論理的思考は必ず求められる。相手の求めるものを先読みする能力は、ロジックに基づいている。また、就職面接できまって評価されるポイントは、話に筋が通っているかどうかという論理性だ。入試やIQテストやSPIなどの適性検査で試されるロジカル・シンキングが、多くの場面で評価されている。

 第2のクリティカル・シンキング(批判的思考)は、「批判的・評価的に考える力」だ。決められたルールやロジックに従って、対象となる事物が正しいかどうかを判断したり、論理や命題を批判することが、この力である。

 MBA(経営専門職大学院)プログラムの中では、身につけるべきビジネススキルとして、クリティカル・シンキングが強調されている。グローバル化したビジネスシーンでは、単にIQが高いだけではダメで、相手と有利な交渉を進め、異文化の下でプロジェクトをマネジメントし、不確実な状況で投資を行う必要がある。