その反動からか、リーダーシップを育成しようとするプロジェクトが、財界主導で次々と現れてきた。それは歓迎すべきことだが、そのムーブメントをリードするのは、心あるおじいさん世代ばかりである。

 若者世代からは、リーダーシップを必要とする声は強くない。「リーダーシップとは組織の上に立って初めて必要となるものなので、若いころからリーダーシップなど身につけてしまえば、余計な責任ばかり押し付けられてしまう」といった悲観的な声も聞かれてくる。だから今回は、わが国の明日を睨んで、リーダーシップについて論じてみたい。

リーダーシップは分担できる

 リーダーシップとはなにか? いろいろなセオリーはあるのだが、とりあえず、「集団の活動を目標達成にむけて方向づけるために、他者に影響力を発揮すること」だと説明しておこう。

 気をつけておきたいのは、リーダーとリーダーシップは同じではないということである。だから、立場上リーダーと思しき人の言動を見たところで、リーダーシップについて本当に学ぶことができるかどうかは怪しい。立場はどうであっても、リーダーシップを発揮している人からしか、リーダーシップは学べないものである。

 逆に、リーダーとリーダーシップが同義でないということは、都合がよいことでもある。リーダーでなくても、だれもがリーダーシップを発揮できるからだ。

「船頭多くして 船山に上る」ということわざがあるように、わが国ではリーダーが多いことを好まない。リーダーはひとりでよいという考えが浸透している。しかし、グローバル化した組織を見れば、もはやリーダーは1人ではない。従業員や市場に多様性(ダイバーシティ)がきわめて高いので、1人のリーダーで対応するのは難しいからである。最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)や最高執行責任者(COO)などが集まって、リーダーシップ・チームを組んでいるのが、グローバルな組織のあり方だ。