ここで、βを0.44に設定すると事業報酬率は2.3%となる。申請のように3%を使った場合と比べると0.7%の削減となる。事業報酬を計算するときに、事業報酬率を掛ける対象となるレートベースは、9兆3826億円なので、0.7%は657億円となる。事業報酬の場合、家庭部門(規制部門)に帰属する額はその55%なので、このうち361億円が家庭部門に割り当てられる。これは、値上げ幅でいうと、1.46%に相当する。これは大きい。

おわりに

 今回は、公開情報だけにもとづいて、東電値上げ申請の妥当性を議論した。間接費配賦スキームなど、もっと詳しいデータや説明がないと妥当かどうかよくわからないものも多い。

 しかし、今回、データや説明が提供された部分については、β値が高い点を除き、データにもとづいて筋の通った説明が提供されているように思う。一部、見解が分かれる論点はあるものの、複数のもっともらしい説明ができるとき、値上げを申請する側、認可する側、消費者側が、ときに反対の説明を採用するのは自然なことである。そういう論点については、最終的に政治的に決着をつけるほかなく、実際に政治的に決着がつけられたということであろう。