別の言い方をすれば、日本は「中小企業の国」といってもよいでしょう。実際に日本には元気のいい中小企業が多数あるのですが、ここで「中小企業の国」というのはその経営スタイルに注目したシンボリックな言い方です。横に幅広いポーフォリオを抱え、システマティックに事業評価をしてポートフォリオを最適化するのは苦手。しかし、これだと決めた領域に長期的にコミットし、商売をどんどん深堀していくのが得意。その商売をしていること自体が従業員のアイデンティティになり、求心力にもなる。これは中小企業の経営スタイルです。

 規模からすれば大企業であるはずのスズキ。社長の鈴木修さんは『俺は、中小企業のおやじ』(日本経済新聞出版社刊)というタイトルの本を書いていらっしゃいます。このタイトルに、多くの日本人は肯定的なニュアンスを感じ、「いいな…、その心意気」と思うでしょう。この辺の気持ちは韓国の人々にはわかりにくいところだと思います。

 ようするに、無理してGE、サムスンのような「ビッグ・ビジネス」を目指さないほうがいい、というのが僕の意見です。実際の規模の大小にかかわらず、ダイキン工業や日本電産など、専業をテコに競争力を高めている中小企業的な経営のほうが日本企業は力を発揮できるのではないでしょうか。

 もちろん専業経営には、リスク分散ができないといか、変化への対応に時間がかかるとか、問題点は多々あります。ですが、戦略のそもそもの定義は「他社と違ったことをする」です。グローバルな視点でみた場合、「一意専心の中小企業」というスタイルは競合他社との違いとなりえますし、競争優位の源泉として大きな可能性を持つ、というのが僕の仮説です。

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