企業のなかに青臭いリーダーを増殖させる

伊賀:日本の大企業では人材育成の一環として、社員を海外MBAへ派遣しているところがあります。ところが、せっかく海外で学んだ人材が帰国後、会社を辞めてしまうことが問題視されています。それでは多額の教育投資が報われず、他企業に優秀な人材が流れてしまうため、企業はなかなかMBA派遣などの人材育成に積極的になれません。

 留職プログラムでも、世界どこでもひとりで生きていけるリーダーシップのある人材を育てるのが目標だと思いますが、それが実現すれば、彼らは会社を退職してしまうかもしれません。これは、終身雇用型の企業内におけるリーダーシップ教育が抱える根源的な問題なのですが、それについてはどう思いますか?

小沼:私たちは、留職プログラムでMBAの二の轍は踏まないよう、議論を重ねています。人材の流出問題に対する問題意識の強かった企業さんからは、国内にサポートチームを作るという提案をいただきました。5人程のチームを作って事前に研修をし、代表者が現地へ行く。その間、スカイプやフェイスブックなどインターネット回線を利用した密なコミュニケーションを取ることで、企業へ戻った際、経験を共有する仲間がいるんです。これはこのプログラムの物凄くイノベイティブな側面だと思っています。

伊賀:それは素晴らしいですね。留職した人が自分の体験を元の職場の仲間に共有できないと、会社に戻ってから浮いてしまい、孤立してしまいます。でもサポートするチームが存在することで、企業全体で取り組んでいるという一体感が生まれますし、1人の体験から多くの人が学ぶこともできる。1人の代表を派遣することで、5人、10人の青臭いリーダーを育成することができるというわけですね。

小沼:はい。留職プログラムのミッションは、NPOを立ち上げるような、リーダーを作ることではありません。プログラムを通して培ったリーダーシップを、自らの属する組織で存分に発揮していただくことがミッションです。高い志を持って入社してきた社員が3年間で失望してしまわぬような企業に変えるだけのリーダーシップを持った人材を育てるのが、プログラム最大のミッションです。

※続きはこちら(全3回)→第2回][最終回

 

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