2.“Companies must take the lead in bringing business and society back together.” “Yet we still lack an overall framework for guiding these efforts.” “The solution lies in the principle of shared value, which involves creating economic value in a way that also creates value for society by addressing its needs and challenges.” (大意:企業はビジネスと社会を統合させる役割を担うべきだ。(中略)だが、その努力を導く包括的フレームワークがいまだ存在しない。(中略)これに対する解決策は共有価値の原則にある。それは社会のニーズと課題に取り組むことにより、社会的価値をも生み出す方法によって経済的価値を創出することである)。この文面では、社会性の実現が経済価値実現の条件である、と解釈できる。

3.“Shared value focuses companies on the right kind of profits ? profits that create societal benefits rather than diminish them.”(共有価値の原則は、企業を正しい種類の利益に向かわせる。それは社会的便益を増大させるような利益である)。ここでは、社会性の実現は企業利益が満たすべき条件であると指摘している。

4.“It (shared value) is about expanding the total pool of economic and social value.”(共有価値とは、経済的価値と社会的価値の総和を拡大することである。)ここでは明らかに、共有価値の根本が社会性と経済性の両立にあることが示唆される。

5.“The purpose of the corporation must be redefined as creating shared value, not just profit per se.” (企業の目的とは共有価値の創造であり、単に利益そのものではない、と再定義されるべきだ。)ここからは、社会性の実現は企業パフォーマンスの一部であることが強く示唆される。

 これらの言説を眺めてみると、3つの主張が混在している。まず第1は(上記引用文1)、経済価値最大化の手段としての社会性追求である。あくまで「競争上の文脈(自社にとっての競争条件)の改善」のために社会性を追求することの重要性だ。実はこの考え方は、持続的競争優位の実現(経済的価値が最大化される最高の状況)を戦略のゴールとする従来の戦略理論の範疇におさまる因果関係である。つまり社会性の追求が経済性にプラスの価値をもたらさない場合、社会性は法的最低限度を超えては追求されない。