ここで図1(筆者作成)を用いて企業に期待される社会的効果を横軸に、企業に期待される経済的効果を縦軸に、ビジネスの属性を整理してみる。左上の象限は法的に要請される最低限度の社会性(例えば児童労働を用いないとか、環境規制を順守するなど)を担保しつつ財務的成果の極大化を志向する、いわば新自由主義が想定する通常のビジネスである。

 一方その対極にあるのが右下の象限、すなわち純粋な慈善事業だ。寄付金や補助金をベースとした慈善団体による社会福祉増進のための様々な活動、例えば環境保護やホームレス支援などである。この場合、寄付者は当然ながら財務的リターンを一切期待しないが(実質的財務リターンはマイナス100%)、その寄付によって実現する社会的・環境的効果への期待水準はきわめて高い。

 フリードマンの考え方は、これら両極の異なる事業間にあって、経済的効果と社会・環境的効果はトレードオフの関係(図1の中で左上から右下へ伸びる斜め45度線)にあるというものだ。すなわち、企業による社会性の追求は、経済性の犠牲の上に成り立つものであるから、企業による社会性追求は株主への背任的行為とみなされる。この考えは資本市場や企業経営者の間で今でも根強い説得性を持っている。