不満が渦巻く人事評価

 人事評価は不満と隣り合わせだ。「自分はこんなにがんばっているのに、どうしてこんな評価なのか…」と気落ちしたり、「上司の目は節穴か?」と気分を害してみたりするのは、なにも珍しいことではない。評価にはいつも不満が渦巻いている。

 たとえば、「評価の基準がバラバラ」というのは、よく上げられる不満だ。

 目標管理制度を導入している企業のケースを考えてみよう。目標管理制度では、仕事の成果は、目標の達成度というポイントで、統一的に評価されている。少なくとも、表面的にはそうだ。

 しかし、そもそも個人が担当している仕事の中身や責任の幅、担当地域や個人の経験の差など、あらゆる面でわれわれ一人ひとりは違っている。だから、そこに一つの基準を厳格にあてはめれば、それだけ不満が大きくなる。かといって、基準に個人ごとの違いを認めれば、評価制度自体が立ちゆかなくなってしまう。

 また、「評価者の評価能力に問題がある」という不満も多い。

 人間の心理を反映すれば、8割を超える人は、自分の成績が平均以上だと思っている。仕事のために行ってきた陰の努力を、自分ではよく知っている。だから、期待の水準は、S・A・B・C・Dの5段階評価であれば、きまってA評価以上ということになる。

 そこで、本当に正確な評価をしたらどうなるだろうか? 客観的で正しく成果を査定し、相対的に調整を行ったとしたら、ちょうど半分の人は平均以下になる。だから、ほとんどの場合、評価の結果が自分の期待を下回ってしまう。

 『白雪姫』の魔法の鏡のように、正しい評価結果だからといって、自信たっぷりに伝えてみたら、受け取る側はびっくりしてしまう。「平均的」であることを意味するB評価であっても受け止められず、相当がっかりする。

 評価に情実が絡めば、なおさら胡散臭さが増す。人事評価には人間関係がかかわっているので、上司と部下の相性のよさや良好なコミュニケーションがあれば、情報の質が変わり、評価結果にも影響してくる。上司としては、部下全員を平等に扱っているつもりでも、評価される部下の間では、その違いを情実ととらえてしまう。