企業内部のグローバル化、古い習慣からの脱却が必要

 現在、日本経済は厳しい状況を迎えている。この苦境をもたらしたものの多くは国内市場に起因しているように見える。デフレ傾向が続いていること、少子高齢化する人口構造、労働市場の柔軟性の低さ。為替水準によるマイナスの影響も大きいだろう。

 しかし、グローバル市場に目を転じれば、広大なフロンティアが広がっている。日本企業の力をもってすれば、このチャンスをつかみ取ることは十分可能だ。

 日本企業はこれまで数々のイノベーションで世界に素晴らしい価値を提供してきた。トヨタの生産方式しかり、ソニーの〈ウォークマン〉しかり。かつてなかった独創的なコンセプトを打ち出して、日本企業は大きな成功を収めた。

 ただ、残念なことに最近の10年、あるいはもう少し長い期間かもしれないが、日本企業による大きなイノベーションがあまり見られなくなった。再び活発なイノベーションを起こすために、2つのポイントを指摘したい。

 第1にオープン性である。日本企業がグローバル市場での存在感を高めるためには、内なるグローバル化にも取り組む必要がある。日本人が大多数を占める経営層に、海外の優秀な人材を登用することも1つの方法ではないだろうか。

 第2に既存モデルへの執着を見直すことだ。環境変化のスピードが加速するなかで、従来のやり方を基にした継続的な改善はなかなか通用しなくなってきている。古い習慣から脱却できるかどうか、その決断は日本企業の将来を左右するだろう。

ローランド・ベルガー [Roland Berger]
ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツ 名誉会長。ミュンヘンとハンブルクで経営学を学び、ボストンおよびミラノでコンサルティング会社勤務後、1967年に、現在世界で5指に入る戦略系コンサルティング会社「ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツ」を創業。フランスのビジネス・スクールINSEADのボード・メンバーを務めるほか、ドイツ銀行、フィアット・グループ、ブラックストーン、ソニーなどのアドバイザーも務める。ドイツをはじめEU経済圏で最も影響力を持つビジネス・パーソンの1人。

(文責・編集部)
(DHBR 2011年1月号より)