顧客のゴールや相互作用に焦点を当てて観察する

 では、写真を使って実際に観察を体験してみましょう。まず、顧客のゴールや相互作用を意識せずにデータを収集してください。駅のホーム、白線、並んでいる男性、両足の間の鞄、スーツケース、傘を持って並んでいる女性などを観察することができます。しかし、要素そのものを羅列するだけでは、どういう意味があるのかはよくわかりません。

 次に、顧客のゴールや相互作用に焦点を当てて観察してみましょう。写真をよく見ると、スーツケースの持ち主はここにはいないようです。なぜ持ち主はスーツケースのそばにいないのでしょうか。以下について考えながら観察してみてください。

・ スーツケースの持ち主のゴールは何か?
・ スーツケースは環境にどのような影響を与えているのか?
・ スーツケースは人々にどのような影響を与えているのか?

 スーツケースの持ち主が「列に並ばずに他のことをする」というゴールを持っているらしいこと、スーツケースが順番待ちの道具として使われていること、スーツケースが人間一人分のスペースを占めていること、スーツケースが後ろの女性に「並んでいます」というメッセージを発信していることなどが理解できます。

 このように、顧客のゴールに焦点を当て、相互作用を意識しながら観察することで、表面的な事象の下に隠れている意味が浮かび上がってきます。人間中心イノベーションにおける観察のポイントを実感していただけたでしょうか。

 

1.現場の外側から客観的に眺めるのではなく、現場の内側で顧客の世界に浸る
2.「見慣れたもの」を「見慣れないもの」のように捉える
3.事物そのものではなく、相互作用によって生み出される意味に焦点を当てる

 

あなたの製品が使われているシーンをひとつ選び、以下のフレームワークを使ってデータを収集してください。まず活動、人、モノ、環境それぞれの要素を観察し、記述します。その次にそれぞれの関係を観察し、記述します。要素同士の関係から隠れていた意味が浮かび上がってきたら、そこから顧客の本質的なゴールを類推してみてください。

*本文中のクイズの答え:0(直線でできている数字の数が答えです)