たかが出し物一つを考えるにも、ここまで真剣になる。

 その機会の真の目的と「人間の行動原理」を起点として何が必要とされているかトコトン考え抜き真剣に取り組む。

 そして、実際、「宴会」を通じて「相手の心のパンツを脱がせることができる宴会力」を持つ。それは、とても大切な力だと思う。

 15年前、僕は新入社員のとき、下戸でもあり、シャイでもあり、宴会というものが大の苦手だった。正直、飲みの席が嫌いだった。ところが、入った会社は総合商社。そこで、おそらく宴会を仕切らせたら日本一と思われる先輩から徹底的なOJTにより世界最強と言われる日本の総合商社の宴会術を職業レベルで叩きこまれた。ハーバードでは、外国人生徒140名を日本に連れてきた伝説のジャパントリップでの宴会部長として伝説となった宴会を仕切らせてもらう大役をもらうほどになった。

 だから知っている。宴会嫌いも宴会が苦手な人も努力すれば宴会の仕切りは上達する。

 そしてもう一つ知っている。宴会という力があったからこそ、僕は海外においてでも本当に沢山の人たちと強固な信頼関係を結ぶことができたということを。(その「総合商社でスキルを学び、ハーバードでさらに磨きをかけ理論化した宴会術」は、一部上場企業をはじめとしたさまざまな企業から、研修で教えてくれと依頼される機会が増えてきた。企業は宴会を仕切る力が国内外でのビジネス力に直結すると気がついているからだ。先週、それを『ハーバード流宴会術』として出版させて頂いた。)

 宴会力とは、宴会という機会を通じて、「人と人との信頼関係を短期間で作りあげる力」以外の何者でもない。相手への配慮、おもてなしの心、優しさ、愛、そんな人間として一番大切なものを原動力として、短時間で相手の心にすっと入っていく、そんな素敵な力だ。そして、リーダーシップを始めとしたビジネスにおいてとても大切な能力をフルに活用する「ミニ・プロジェクト」の場だ。

 英語の知識だけあっても、こうした人間としての温かさや、そういったベースとなる人間関係を創りだす力に欠ける人は間違いなく海外では通用しないだろう。(当然、日本でも通用しないと思うが)

 誤解を恐れずに言い切るが、英語の知識をつけるまえに、まずは宴会力をつけることをお勧めする。
 

児玉教仁(こだまのりひと)
三菱商事株式会社(1997-2011)において鉄鋼製品で海外新規事業構築や米国に拠点を持つIT子会社の経営を行う。ハーバード・ビジネス・スクールよりMBA。2005年米国のジャンクフードの全米調理選手権で優勝。(その時の模様は著書「パンツを脱ぐ勇気」ダイアモンド社)2011 年グローバルアストロラインズ社を立ち上げ、「本質徹底探求プログラム」「隣りに座るグローバル交渉術」「英語ブートキャンプ」「若手リーダー点火研修」等革新的なグローバル人材教育プログラムを開発。三菱商事グループの人材開発を担う子会社ヒューマンリンク社と共同で同社グループ向けに展開。それ以外にも業種・会社のサイズを問わず、様々な企業・学校・団体等に積極的に研修や講演を提供している。最新刊に『ハーバード流宴会術』(大和書房)がある。