自分だけの「プレイリスト」を

 そもそも就職というのは自分と仕事のマッチングである。音楽と一緒であくまでもその人の好みの問題だ。ランキングの上位にある曲を聴いても、全員が気に入るとは限らない。僕は「ザ・たこさん」というバンドの『グッとくる』という曲が大スキで(この曲、ホントにグッときます。あと、『バラ色の世界』も超おススメ。単に僕の好みの問題ですが)、最近の営業車運転中のヘビロテNo. 1になっている。ところが残念なことに、この曲はランキングには出てこない。

 ようするに、一般的に「よい就職先」など元から存在しない。当たり前の話だ。ところが、この当たり前の話がなかなか通用しないのがいつの時代も学生のナイーブなところ。なにぶん食べたことがないのだから、どうしても「食わず嫌い」や「食わず好き」になる。

 仕方がないことだといえばそれまでだが、「食わず好き」はまだしも、「食わず嫌い」は実にもったいない。一度しかない人生だ。やりがいのある仕事をもつことは人間にとってもっとも基礎的な幸せのひとつだ。自分にとっての「良い会社」を見つけるのは重要な問題である。

 いうまでもなく、世の中には数多くの会社がある。いまは知らないけれども聴いてみたらグッとくる曲が世の中にたくさんあるように、自分にとってグッとくるかもしれない「よい会社」は想像以上にたくさんあるはずだ。

 これから世に出ようという学生だけでなく、キャリアの初期段階にいる若者に強くお勧めしたい。就職人気ランキングはひとまず横に置いて、視野を限りなく広くもったほうがいい。先入観を持たずに(どうせまだたいした経験をもっていないのだから、先入観はまったくアテにならない)、いろいろな業界のいろいろな会社をとにかく数多くみてみることだ。

 まずは質より量だ。どんな方法でもいいが、実際にその会社で働いている人に少しでも話を聞いてみるといい。それで十分。微に入り細に入り「企業研究」をしても、本当のところは実際に働いてみるまで分からない(しかも、しばらく腰を据えて働いてみなければわからない)。まずはイントロやサビだけでもいい。自分の耳で聴いてみる。数多くの曲を聴いてみて、自分だけの「プレイリスト」をつくる。直観だけでいい。理屈抜きにグッとくれば、その会社は考えてみる価値が十分にある。